こんにちは💢💢💢
(エバラス感想を見に来た皆さんへ この怒りは感想と一切関係ありません)
はい。用事もそこそこに全力帰宅したにもかかわらず、内定が出た会社からの電話対応に追われ、一曲目と二曲目(初見時。2周目で見たよ。)をほぼ全てパァにしたここあにゃんです。これが社会人になるってことなんですね。つらい。かといって土日がきっちり休みの会社に雇ってもらえるような人間かと言われるとNoだし…(´・ω・)
…気を取り直しまして、本日はEverlasting33の感想などを書いていきたいと思います。
結論から言うと、GaOI(ガンダムオンアイス)…もといFaOI同様、原作を知っていた方が楽しめるタイプの作りではあったかな、と思います。こちらの場合は、バレエであったり、演劇であったり、フィギュアスケートの演目であったり。
とはいえ、そういった原作たちを知らなくてもちゃんと楽しめるアイスショーなのでご安心ください。演技や背景映像でなんとなくの空気感は掴めますし。
※ネタバレ祭りです。
※筆者は見直しをしてからブログを書いています。
1.DANCE OF CURSE(『天空のエスカフローネ』より)
本公演のオープニングとなるプログラム曲は、1996年のテレビアニメ「天空のエスカフローネ」より、「DANCE OF CURSE」。荘厳なオーケストラの生演奏に合わせ、白い衣装を纏った演者たちが登場します。背景に映し出される聖堂や真央さんをリフトする(持ち上げる)振り付けも相まって、さながら宗教画のようなこのプログラム。「劇場でのアイスショー」というコンセプトを、視覚的に私たちに理解させてくれます。
2.アルビノーニのアダージョ
田村岳斗、柴田嶺、浅田真央のベテラン三人で演じるプログラム。振り付けのSeishiro氏から与えられたテーマは「愛の表現」。年長者三名が、ポジティブなだけでない、様々な愛の形を表現します。って感じのことが付属プログラムに書いてあった。
動き自体はシンプルで、他の演目と比較するとかなり追いやすいと思います。しかし、それだけに逃げ場がありません。背景もないに等しいですし。三人の技術が試される、あるいは技術を存分に見せつけるプログラムと言えるでしょう。全ての動きがハイライトです(『メダリスト』から表現を借用)。
その中でも私が特に好きなのは、男性二人によるリフト。それ自体の希少性もさることながら、真央さんの美ポジが際立つ形なのも素晴らしい。
3.『眠れる森の美女』より花のワルツ
舞台は艶やかな大人の空間から、妖精たちが舞い踊る森の中へ。
『白鳥の湖』、『くるみ割り人形』と共に三大バレエの一角とされる『眠れる森の美女』。そんな名作を、若きスケーターたちが演じます。
身体のポジションが際立つ『アルビノーニのアダージョ』と異なり、こちらは「滑り」がよく映える構成。ここにも「劇場でのアイスショー」というコンセプトの一端がよく現れていると言えるでしょう。
4.(4~10曲目)
“花のワルツ”を舞った若きスケーターたちが、『薔薇の精』『ジゼル』『ドン・キホーテ』など、古くから「劇場」ひいては「スケートリンク」で演じ継がれてきた名作を次々と披露していきます。なお、先ほどまでとは異なりソロやデュオ(二人組)のスタイルとなります。
演者たちも「プロデューサー・浅田真央」に長年付いてきた猛者揃い。ジャンプはほとんどないものの、現役選手のそれに勝るとも劣らないほどの体のキレや技術の冴えを見せてくれます。
5.タイスの瞑想曲
FaOIなどでしばしば用いられる「エアリアル」に、浅田真央&柴田嶺のペアが初挑戦した意欲作。最初こそ「グラついてね…?大丈夫…?」となりましたが、それ以降は特に心配なく見ることができました。
嘘。流石にラストは肝がヒェッヒエでした。いくらペア経験者、しかも年単位の付き合いとはいえ、男一人の両腕に世界の至宝たる己が命を全て預けるのはおやめいただきたい。いや普通のペア技でも命は預けてるんだけどこれはレベルが違うて。なんでFly awayしとんねん。
6.ウエスト・サイド・ストーリー
バレエからミュージカルへ。劇場の雰囲気がまたしても一変します。
『ウエスト・サイド・ストーリー』は簡単に言えば、アメリカの不良どもがロミジュリする感じの物語。この公演では冒頭部分を題材としたプログラムが展開されました。
驚いたのはその再現力。ロミジュリるカップルや不良の抗争どころか、不良どもの馴れ合いパートまでしっかり再現しているんですね。バスケットボールまで出てくるとは思わなんだ。
7.タップダンス
なんとびっくり、タップダンス。
浅田真央さんと、タップダンスの先生をしているHideboHさんのコラボレーションプログラム。足元はもちろん、上半身の振り付けや演出も楽しめる構成になっています。氷上にも出てくる。
…とまあ、タップダンスの質自体は素晴らしかったんですが、これ会場の人的にはどうなんでしょう。配信ではできる限り足元を見せてくれていましたが、席によっては足元が欠片も見えないパートがありそうで…
8.ゴッドファーザー 愛のテーマ
(ここから飛び飛びになります。むしろ今までほぼ飛んでないのがおかしい。ダイジェストくらいに留めるつもりだったんですが…)
現役時代からイケメンとの声が絶えない田村岳斗氏が、渋〜い楽曲で登場。イケオジが過ぎる。なんで座ってるだけでビジュが強いんだ。
特段凄い技があるかと言われるとそうでもない(嘘、ジャンプはあるしスピンもある)、しかし演者の雰囲気でこちらを圧倒してくれる力作。一つ一つの技術が高いレベルで染み付いているのもあり、もはやただ滑るだけでも完璧。
9.キス・ザ・レイン
浅田真央さんのソロプログラム。可憐なピアノの音が、真央さんの純粋なスケート愛に寄り添うかのように響きます。
(書き手の察しが悪すぎて気づいていませんが、現役時にお亡くなりになったお母様への想いがあった可能性あり。インタ覚えてないのでアレですが。)
スパイラル、アクセルジャンプ(2Aだけど)など、現役時代に代名詞となっていた技が並んでいるこのプログラム。今なお止まらない進化を感じると同時に、「33歳の浅田真央」という存在をより強く感じられました。「真央ちゃん」から「真央さん」になったんだなって(今更)。
あの頃†神童†だった私が今では底辺大学生…?
10.死の舞踏
サン・サーンスの『死の舞踏』。これは聞いたことのある人も多いでしょう。
群舞形式のプログラムになるわけですが、これまたとんでもない仕上がりになっております。演者たちの練度もさることながら、「振り付けの妙!!!」ってなる場所があまりにも多い(振付:Seishiro)。一見意味不明な振りがこれ以上なく曲に合っていたり、微妙なズラしが不安を煽ってきたり。
11.トッカータとフーガ
鼻から牛乳?!
ダンサーのSeishiroさんと浅田真央さんによるコラボプログラム。異業種とのコラボレーションはこれまでに何度か見てきましたが、これまた新しい、衝撃的な作品が出てきたなという印象です。
ダンサーとスケーターが同じ舞台で、時には同じ振り付けで、しかし全く違う踊りをしながら混じり合う。これを極めて高いレベルで成し遂げる演者の力量に感服するばかりです。(このサイトはFF色も強いので付記しておくと、Seishiroさんはこの後ソロで『ザナルカンドにて』をやります。)
12.Art On Ice
エフゲニー・プルシェンコさんの「ニジンスキーに捧ぐ」や、それをリスペクトした羽生結弦さんの「Origin」に使用されていることで、フィギュアスケート界ではかなり有名なこの楽曲(というか元はプル用の作品なんだっけ)。本公演では田村岳斗さんとHideboHさんによるコラボプログラムとして披露されました。
最初は「なぜタップダンス…?」となりましたが、見ていくうちに惹かれていき、クライマックスの振り付けでその意味が完全に理解できました。バイオリンの細かい旋律に合わせ、田村さんが「ヤグディンステップ(解説はwikiに投げます)」を踏むんですね。これは細かいトウステップで、確かにタップダンスとよく似合います。
…しかし、ヤグディンとプルシェンコの不仲はフィギュアスケート界だともはや伝説なくらい有名なお話のはず。私はリアタイ世代じゃないから知らんが…。本人たちが知ったら激おこになるかもしれません。なんてね。
13.ボレロ
『Art On Ice』から先は、若手スケーターペアによる『ロミオとジュリエット』、浅田真央&柴田嶺による2本のプログラム、真央さん以外の全ての演者が登場し、エンドロール的役割を担う『エル・フラメンコ』が続きます。そして公演は最後のプログラム『ボレロ』へ。
バレエ曲のみならず、フィギュアスケートの曲としても不動の地位を築いた『ボレロ』。それは限られたバレエダンサーのみが踊ることを許される、崇高な楽曲。その表現に、浅田真央がついに単独で挑みます(確かジェフリー・バトルとのペアでやったことはあるはず)。
公式プログラムによれば、『永遠』をテーマに、スケートへの愛や姉(浅田舞さん。振付にも協力。)への想い、『Everlasting33』という公演そのものへの思いを全てぶつけたという、まさに「魂」の演目。
それは「コンパルソリー」という、氷上に図形を描く動き───即ち、フィギュアスケートの原点から始まります。
コンパルソリーから、様々な技へ。浅田真央という魂は、炎のように燃え上がっていきます。その姿は「情熱的で野生的な官能を秘めた」(『ブリザードアクセル』より引用。孫引きの可能性あり。)とも称される『ボレロ』原作(バレエ版)にも通じているように感じられました。
とにかく素晴らしいので見てほしい(語彙力ガス欠)。これこそが永遠の愛。このボレロは永久にその美しさを伝え続けるであろう。…が、困ったことにアーカイブの公開は本日までで終わりだという。まあEverlasting33及び真央ボレロという無形文化遺産を永久保存&公開するには少々時間が必要なのでしょう。
14.総評
総じて、劇場で演じるに相応しい格の高いプログラムが揃っていたように思えます。ともすれば、フィギュアスケートという新興の芸術を、バレエや演劇といった古典芸術と同じラインに引き上げた公演と言えるかもしれません。
またフィギュアスケートだけでなく、様々な舞踊や演出を取り入れたことで、全く新しい、独自性の高いアイスショーになっていたとも思います。
一方で、新ジャンルの取り入れによる弊害は出ていたかもしれません。特にタップダンスは演出面で改良の余地がありそう。とはいえ、初挑戦のエアリアルまでぶっ込んだ中でこれだけ高い質の公演を完遂できたのですから万々歳でしょう。
また様々な芸術を取り入れた結果、「全部楽しみ尽くす」にはやや敷居の高い公演にはなっているかもしれません。特にバレエ曲の量はすごい。まあ冒頭に述べた通り、知識がなくても問題なく楽しめるものではあるので、これは「やり込み要素」くらいのニュアンスだと思ってください。
改めて、素晴らしいアイスショーだったと思います。
15.演者紹介(一部)
田村岳斗(45)…元フィギュアスケート選手。また、木下アカデミーでのコーチ経験がある(宮原知子は元教え子)。
柴田嶺(37)…元フィギュアスケート選手。『ツーオンアイス』監修を務めた高橋成美氏とペアを組んでいた時期があり、自身も取材協力をしている。
Seishiro(33)…ダンサー兼振付師。乃木坂46の「インフルエンサー」及び「シンクロニシティ」の振り付けなどを担当。
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