-召命-
キリスト教で、神の恵みによって神に呼び出されること。
伝道者としての使命を与えられること。
───『ツーオンアイス』第15話より
…いつ書こうか、明日打ち切られる可能性もあるんだし、今日書こうか…と思っていたところで、鳩が背中を押してくれました。ありがとうころくさん。この作品は古典要素たっぷりプリンなので悲鳴を上げながら読んでネ。
ということで、今回は漫画『ツーオンアイス』を紹介していこうと思います。以前からポツポツと話題にあげてはいましたが、ガッツリやるのは初めてですね。
ちなみにサムネにもした通り、単行本は2巻ともゲットできました!わぁい⸜(*´꒳`*)⸝
あの『週刊少年ジャンプ』とかいう魔境で連載しており、アンケ結果もだいぶアレなため、残念ながら打ち切りがほぼ確定事項の本作。まだどうにかなる段階でブログ書けばよかっただろって?いやもう全くもって…おっしゃる通りです…
ですが名作には違いないと思うので、その魅力を存分にお伝えできたらなと思います。全ては少年ジャンプで連載したのが悪い。ヤンジャンに行けば多分まだマシだった。
おしながき
概要
本作は、ペアスケートを題材とした漫画になっております。より具体的に言うと、女子シングルからペアへと転向し、相手を求めていた元天才少女の早乙女綺更と、幼少期の彼女に強く焦がれ、ずっと綺更を追いかけてきた少年峰越隼馬が、ペアを組んで戦っていくというストーリー。
「ペアって何?」という方に簡単に説明しておきますと、男女でタッグを組んで演技するフィギュアスケートの一種目です。ジャンプしないのがアイスダンスで、ジャンプやぶん投げをやるのがペア。
…まあ、ここまでなら割と普通のスポーツ漫画です。種目は特殊ですが。
しかし、この作品はそれだけでは終わりません。ここからは、『ツーオンアイス』独自の魅力について見ていきましょう。
魅力1:作者の教養(趣味)
冒頭の引用部分にも見られる通り、作者の逸茂エルク氏はなかなか独特なセンスを持ち合わせています。言ってしまえばかなりオタク的。それも、ガチガチの古典派。
本作には「召命」をはじめとしたキリスト教的な語句や、超有名作曲家「フランツ・リスト」にまつわる様々な話の引用が出てきます。てかリストに関しては「どんだけ好きやねん」ってくらいに持ってきます。
また、現実のフィギュアスケートからの引用もあったりします。後述する富士原ロランとかはモロにそれ。
引用部分でなくても、作者の考えの深さが滲み出てるシーンはまあまああったりします。そのあたりは読んで確かめてみよう。
魅力2:ドス黒い世界観
現実のメタファーと創作の狂気が入り交じる、趣味の悪い暗澹とした描写が飛び出るのもこの作品の特徴。後述する空天雪の(実質的な)初登場回はモロにそんな感じ。必見です。
…まあ、時々「こんなの言っちゃって大丈夫…?」となることはありますが。まあその辺も登場人物紹介で語っていきます。
魅力3:人間関係
『ツーオンアイス』の軸はやはり「主人公ペアの成長と関係性」になっていくわけですが、本作はここが実に良い。地に足のついた描写をしているのはもちろんのこと、思春期の男女らしい「恥じらい」を描きつつも「恋愛」ではないのがしっかりわかるようにしているのも素晴らしい。
さて、ここからは登場人物紹介です。私の独断で選んでいるので、キャラ選出が割とめちゃくちゃかも。
キャラ紹介:峰越隼馬
「マイナス15度くらいまでなら、生きて帰れるから。」
「みねこし はゆま」と読みます。読みにくすぎるだろ。名前決めた奴をコキュートスツアー(一週間)送りにすべきかもしれない。
主人公ペア「きさはゆ」の片割れで、男主人公ですね。幼少期の早乙女綺更に憧れて、彼女の動きを粗いながらも完コピした変態。ですが、独学で綺更だけをお手本に練習するというこの狂気の沙汰が、後のペア結成に繋がります。
北海道出身のため、まあまあ方言が出ます。あとマイナス15℃までなら生きて帰れる。
キャラ紹介:早乙女綺更
「私は選択肢を奪わない。」
「さおとめ きさら」と読みます。まだマシだけど読みにくいし打ちにくい。名前考えた人は磔刑です。
主人公ペア「きさはゆ」の女の方。かつては4回転ジャンプや3Aを跳べる天才少女でしたが、作品開始時点では女子シングルから追放され、隠遁生活を送っていました。この辺の事情は後述。
追放の経緯からペアを組んでくれる人がいなかったところで、彼女は隼馬と出会います。そして彼が自分のコピーをしていたことに気づき、ペアとして迎え入れるわけですね。
…しかし、ペアとしての初演技を終えた彼女は、この状態に思うところができた様子。上述の台詞を告げ、隼馬にある道を提示します。
キャラ紹介:霧島夏夜・夏日
主人公ペアの練習拠点の持ち主であり、主人公ペアのコーチでもあり、その上で現役ペア選手でもある双子の兄妹。これで国際大会にも出てるんですって。頭おかしなるで。
夏夜が兄で、夏日が妹となります。妹が170cm、兄が190cm(ゴリマッチョ)という長身ペア。すごい。
主人公たちのことをあらゆる形で支えつつ、彼らにアドバイスを色々してくれます。時には彼らのために(夏日が)徹夜をすることも。本当に大丈夫なのか…?
キャラ紹介:富士原ロラン
作中世界における男子シングルのNo.2。曲目(初登場時)と家族構成とポジションが完全に宇○昌○な人。でも後述する空天雪よりは歳上で、基本的には年長者らしい振る舞いをしています。性格もかなりの陽の者で、初対面の隼馬にもサラッと話しかけたりしています。
でも弟がいるんだよな〜!!4Fも跳ぶんだよな〜!!
キャラ紹介:常呂美沙緖
「天雪、お前は─────」
綺更の元コーチにして、空天雪のコーチをしているクソババアです。シングル至上主義者らしく、ペアに行きたいと言った綺更を追放した挙句、誰ともペアを組めないように手回しまでしやがりました。クソババアです。こんなコーチは現実に存在しないので安心してください。クソb(殴
余談ですが、なんとなく呼びにくいので私はトコロテンと呼んでいます。
キャラ紹介:空天雪
「ゾッとするほど美しいものはね」
「吐き気するほど醜い感情から生まれるんだよ。」
「そら たかゆき」と読みます。死ねや(ド直球暴言)。天(たか)ってなんやねん、天(たか)って。…まあ、狼嵜光ちゃんよりかはわかりやすいので良しとしましょう。コキュートスには送るけど。
綺更ちゃんをペアに進ませた張本人にして、本作の「闇」を担当する人物。詳しいことを話すとほぼ全てがネタバレになるので伏せまくりますが、とにかくやべー奴。悪趣味の権化にして、美の究極形態みたいなキャラです。最新話まで読んだ人は、進撃の某台詞が脳裏を掠めること間違いなし。
総評
「週刊少年ジャンプ連載」という先入観を抜きにして読めば、賛否は分かれるでしょうがかなり楽しめる作品となっております。私は好きよ、こういう作風。それに、趣味の悪さだけじゃありませんからね。闇の先には、必ず光があるものです。
調べて分かった。”⬛︎⬛︎⬛︎”という題名は、「⬛︎⬛︎」の意味ではない。
“⬛︎”が意味するのは、”⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎”や”⬛︎⬛︎⬛︎”と呼ばれる性格。
すなわち─────
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