さて、諸君――ループ物は好きか?
『カゲロウデイズ』を聞いたことはあるか?
『夏への扉』を読んだことはあるか?
『時をかける少女』は?
『魔法少女まどか⭐︎マギカ』は見たか?
『オール・ユー・ニード・イズ・キル』は?
『少女歌劇レヴュースタァライト』は?
『エンドレスエイト』は?
『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』は?
『STEINS;GATE』は遊んだか?
『グノーシア』は?
この世には沢山のループ物が溢れている。それらは基本的に意図せずループに巻き込まれ、脱出の糸口を掴もうと足掻くものだ。私はループ物が大好きだ。
こほん。これが初記事になりました、神楽宮です。本当は別のことを書こうとしてライターに手を挙げたのですが、ちょっと今話題の漫画『運命の巻戻士』が刺さったので書かせていただいております。
コロコロで連載されているこの漫画、3/18 23:59まで無料公開をしていまして、それで読んでどハマりしました。リアルキッズの頃でもコロコロはハマらなかったのに!
リンク:https://www.corocoro.jp/episode/3270296674366181081
主人公のクロノは巻戻士という職業をしていて、未来から過去にタイムスリップをしては不幸な事故や事件による死者数を減らしています。その中で立ちはだかる『どうにも覆せない死の運命』や、タイムリープ能力を悪用する敵組織と戦う物語。
これが、コロコロの限界の極をかすめていくほどのハードSFなのだ。
例えば第一話の『コンビニ強盗で死ぬ店員のおばあちゃん』の救出の場合、
・まずクロノが迂闊なことをすればおばあちゃんが撃たれる
・銀行強盗そのものを未然に阻止は難しい
・クロノが手を尽くしてもおばあちゃんなので人質の時間が長引けばダメージを負う
などの理由で死にかけていく。というか死ぬ。死亡シーンの大半は具体的に描かれず、モノクロ少年誌なので血の描写も少ないが、死んでそうなのは明らかに多い。
それを攻略するためには起こりうる出来事を記憶し、周回する必要があるのだ。
巻戻士という職業は(タイムスリップ先の時代にとっては)未知のものなので、まず人々は事件事故の危険性を信じない。逃げろ、離れろと正直に伝えても、未来は変わらない。そして当日当時に飛ばされているクロノに、タイムループ上申制(MONDAYSより)をしている時間はない。
つまり、クロノ達はRTA走者なのである。
最終的にトンチキなアイテムを取り揃え、起こりうる出来事に対処して回るのが仕事なのだ。
しかしタイムリープには本人の精神力を消費するし、何よりやり直す度に人が死ぬ姿を彼らは見せられている。チャイヌという巻戻士は何度か任務に失敗してしまい、人の死を見過ぎて精神を消耗しているほどだ。
クロノはそんな中でも少年誌の主人公らしく頑張ってはいるのだが、彼の物凄い点は「誰も死なせないルートを掴むまで諦めない」点だろう。
400人死ぬところが398人が助かったのなら、それでいい――とは、ならない。敵や鳥まで、すべてに対してハッピーエンドを掴むまで繰り返しを続けている。それがクロノだ。自分の妹が巻き込まれた事故のことを解決するまで進むが、その最中でクロノは誰の命も取りこぼさず怪我もさせないように走るのだ。なんとハードボイルドな主人公だろうか。
ループ物の大半は巻き込まれてのことだが、自分からループを起こして最善手を得るまで突っ走る。そんなクロノのことを是非皆も読んで欲しい。『こんなよくある話』とカゲロウデイズでも言われていたようなループ物であっても、これはまた特別な体験をもたらすだろう。
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