初代ファイナルファンタジー(ファミコン版)を熱く語る語る

はじめに

ファミコン版FF1のカセットラベル

ファイナルファンタジー1

はじめまして。ウェブ小説家(?)の矢木羽研(やきうけん)と申します。好きなものはゲームとご飯と他多数。すでにカクヨムやアルファポリス他あちこちで書いているのですが、ころくさんがライターを募集していたので登録してみました。

何を書こうかなと思ってカテゴリを目にしたら「ファイナルファンタジー」の文字が。そうだ、私はシリーズでも初期作品を語れる。特に原点であるファミコン版FF1については(詳しい人も少ないので)相対的にかなり語れる! まずはここから初めてみるのが良さそうだな、と。

どのくらい好きかというと、『令和の中学生がファミコンをやってみた』というタイトルで、一章まるまる使って主人公たちがFF1で遊ぶという小説を書いたことがあるくらい(そして様々なファミコンソフトの中で真っ先に登場させたくらい)好きです。

リンク:令和の中学生がファミコンをやってみた(カクヨム)

FF1のバージョンについて

ファミコン版を語る前に、本作のバージョンについて説明します。おそらく読者の方の中には「GBA版ならやったことある」「ピクセルリマスターなら最近クリアしたばかりだよ」という方もいらっしゃるでしょう。

 初代FFは、極めて多くの移植・リメイクが存在します。大きく分けてゲームバランスやシステムが大幅に異なる4つの「世代」があり、さらに同世代でも細かい部分での違いが大きいです。このため、「FF1をやったことがある」という人でも、バージョンが違えば話が噛み合わなかったりします

以下、便宜上「第◯世代」と呼称しますが、これは独自のものであり、一般的なFF1ファンでも使われるものでもないことをご了承ください。また、現在入手不可能な携帯電話・スマホ版などにも軽く言及していますが、直接プレイしたことがないので詳しくはないです。

第1世代

元祖ファミコン版と、それを移植したパソコンのMSX2版が存在します。一見するとグラフィックや音楽が少し異なるだけですが、モンク(職業の一つ、後述)の攻撃力の計算式に重大な不具合があるという話です。未プレイなので詳細は触れませんが。

ファミコンのRPGでもかなり初期のほうであり、ゲームバランスやUIに問題が多いです。しかし実はランダムエンカウント率が低いという特徴(とりわけ第2・第3世代と比べた場合)があり、慣れてくるとかなり快適にプレイできます

 最大の難点は、現在だとファミコン実機(または互換機)でしかプレイする手段がないということですWiiや3DSのバーチャルコンソールも販売終了し、Switchのサブスクにも入っていません(現時点で買えるのは後述のピクセルリマスター版のみです)。

 幸いなことにプレミア化しているわけではないので、1000円から2000円程度で買えるはずです。中古屋のワゴンでは数百円で出ていることも珍しくありません。とはいえ、この記事を読んで本作に手を出す方がいるかどうか、まあ絶望的な気がしますが、それでも書きたくなったので書いてみます。

第2世代

 WSC(ワンダースワンカラー)版と、PS(プレイステーション)版があります。WSC版については本体のローンチタイトルであり、FFシリーズ初のフルリメイクということもあってかなり売れました。PS版はその移植で、さらにイージーモードやモンスター図鑑といった追加要素があります。

携帯電話(ガラケー)アプリ版もWSC版に近い内容となっていたようです。

第1世代からの主な変更点は、アイテムのまとめ買いができるようになり、装備品の所持制限が無くなったことです。逆に言えば従来はそれが不可能だったので、アイテムの管理がかなり大変だったとも言えます。

ゲームバランスにも手が入っており、ボスキャラの強化、一部敵の行動パターン変更、前述したエンカウント率上昇など、UI面が易しくなったのと釣り合いを持たせるためか難易度が上昇した部分が多いです。これらの世代のみをプレイすると「ファミコン版はもっと難しいのか……」と戦慄するかも知れませんが、大丈夫です、そんなに難しくないです。

WSCは主に本体が入手困難ですが、PS版はゲームアーカイブスにてDL購入が可能です。お値段も数百円なので、PS3やPSPをお持ちの方であればおすすめできるタイトルの一つです。PS移植版のFFといえば4・5・6のロード地獄が悪評高いですが、SFCソフトを強引に移植したこれら3作品と比べるとだいぶマシになっております。

第3世代

 GBA(ゲームボーイアドバンス)版PSP(プレイステーションポータブル)版が該当します。MPシステム変更と回復アイテムの追加、移動中ならどこでもセーブ可能、レベルアップに必要な経験値引き下げなど、全体的に難易度が大幅に下げられたのが特徴です。

また、追加ダンジョンが遊べる唯一の世代です。GBA版では歴代シリーズのボスが登場する「ソウル・オブ・カオス」が、PSP版ではそれに加えてパズル的要素のある「時の迷宮」がプレイ可能。ただし、高難易度のエクストラダンジョンにもかかわらず次の目的地だと誤認させるという演出が致命的で、それもあってか以下の移植では完全にオミットされてしまいましたが。

とはいえボリュームがあるのは間違いないので、アイテムコレクションなどに喜びを見出すタイプの方であればPSP版はおすすめできます。

 旧スマホ版(後述のピクセルリマスターではない)や、3DSのダウンロード版(バーチャルコンソールとは別)もこちらに該当します。ただしバージョンによっては追加ダンジョンがカットされていたりもしたようです。

第4世代

 スマートフォンやWindowsPCSwitchPS4ソフトとして配信中のピクセルリマスターです。システムをさらに刷新し、MPシステムなど一部は第2世代に先祖返りもしました。個人的にはオートセーブの存在が大きく、現代ゲーマーが普通にプレイするには一番だと思われます。

実は未プレイなのですが、評判を見る限り第2世代ほど尖ったバランスでもなく、第3世代ほどヌルくもないようなので、賛否はあるようですがゲームとしての完成度は普通に高いのだと思われます。

ファミコン版攻略ガイド

さて長々と語ってきましたが、本題はあくまでもファミコン版の元祖FF1です。このゲームをノーヒント(本体同梱の説明書のみ)でプレイするのは非常に困難です。当時のファミコンソフト全般に言えますが、ゲーム雑誌などで情報を仕入れて遊ぶ前提になっていたと思われます。

ファミコン版は後に、『FF2』との同梱版で再販売されましたが、その時はミニ攻略本が付属してました。しかしアイテムデータなどの肝心な情報がない割に、ストーリーのネタバレは容赦ないという地獄のような内容でしたが……。

ここでは大きなネタバレに抵触しない範囲で、攻略のコツを紹介します。

ジョブ選びについて

 最初に4人のジョブ(職業・クラス)を選択します。6種類から選べて、重複もOK。ただし一度決めると二度と変更できません。さらにファミコン版はセーブデータを1つしか作れないので「とりあえず様子見」というようなこともやりづらいです。

以下はファミコン版の説明書から抜粋した各職業の特徴ですが、これを見てどのようなパーティが良いと思われるでしょうか。

 戦士 :武器を使った戦闘のプロフェッショナル。
 シーフ:動きが素早く手先が器用で逃げやすい。
 モンク:自らの肉体と精神を鍛え上げている。
白魔術師:傷を治したり味方を守る白魔法を得意とする。
黒魔術師:敵にダメージを与える黒魔法を得意とする。
赤魔術士:白黒両方の魔法を使えるが、中には使えないものも。

(「魔士」じゃなくて「魔士」なの? と思った方がおられるかも知れませんが、本作において「魔道士」はパワーアップ後の上級職の名称です。以降のシリーズでは「魔道士」のみが採用されました)

……おそらく多くの方は「戦士・シーフ・白魔術師・黒魔術師」あるいは「戦士・モンク・白魔術師・黒魔術師」という組み合わせにたどり着いたのではないでしょうか。はい、大失敗です。本作のプレイヤーの多くが一度は経験するであろう地雷パーティの出来上がりです。

(前者の地雷パーティ、あろうことか第2世代以降ではデフォルトになってしまいましたこの編成がまともに機能するようになるのは第3世代以降なので、第2世代をデフォルトのままでプレイした方は、本来の難易度以上に苦労したはずです)

何が問題かといえば、上記の説明では防御面について全く触れられていないのです。一番頑丈なのはイメージ通り戦士なのですが、次に頑丈なのは誰だと思いますか? 動きが素早いシーフ? 肉体を鍛えているモンク? どちらも違います、赤魔術士です。……はぁ? って感じですよね。

理由として、最初の町で買える中では最強防具の「くさりかたびら」を装備できるのが、戦士と赤魔術士しかいません。鎖かたびらの防御力は15ポイント。次点の革鎧(モンク・シーフ用)は4ポイント本作のダメージ計算は引き算なので、物理ダメージが11ポイントも変わります

序盤における基礎ダメージはほぼ一桁なのであまり気になりませんが、最初のボスを倒した次のエリアあたりから被ダメージに目に見えて差がついてきます。本作では隊列の前にいるほどダメージを受けやすい(前後列がはっきり別れておらず、ドラクエ方式に近い)ので、最低でも2人は鎖かたびらを装備していないと非常に苦しくなります。より具体的には「戦士と赤魔術士を合計2人以上入れろ」という話ですね。

 ファミコン版のデフォルトのパーティは「戦士・シーフ・モンク・赤魔術士で、これは悪くないです。魔法を使えるのが赤魔だけですが、意外となんとかなります。モンクは最初は弱いですが、成長とともに素手の攻撃力が飛躍的に伸びていきます。ただし先述した防御面の都合から、シーフと赤魔術士の順番を入れ替えたほうが良いでしょう。

同じジョブは複数入れても構わないので、戦士・戦士・赤魔・赤魔」なんてのもありです、というか最強パーティだと評価する人も少なくありません。実際はモンクを1人くらいは加えたほうが面白みがあるとは思うのですが。

 魔法が好きな方は「戦士・赤魔術士・白魔術師・黒魔術師」なんてパーティに挑戦してみるのも良いでしょう。後ろの2名が足を引っ張りやすいですが、そもそも戦士と赤魔の2人がいれば大抵のことはなんとかなるので、多少は偏った編成にしても問題ないのです。

ただし、いずれの場合においても戦士を抜く構成は絶対におすすめしませんです。以下に述べる防具の都合で、戦士(強化後はナイト)がいないと耐性が揃わないのです。そもそも本作では、戦士抜きのあらゆるパーティよりも、戦士4人で組んだ脳筋パーティのほうが確実に強いです。迷ったら戦士、これが合言葉です。

おまけ:シーフについて

ちなみにシーフの説明にある「動きが素早く手先が器用で逃げやすい」は全て詐欺です。そもそも戦士のほうが素早い(!)し、本作における「素早さ」は回避率に多少影響を与える程度です。手先の器用さというパラメータに至っては存在しません(罠の探知や解除といった要素を入れようとしていた名残でしょうか?)

 逃げやすいというのは間違いでもない(逃走率に影響する「幸運」が高い)ですが、ファミコン版では前から2番目に配置しないと機能しない(つまり防御面を考えると現実的ではない)し、第2世代以降では隊列の影響は受けなくなったようですが、そもそも幸運パラメータが逃走率に与える影響が非常に低くなっています。結果として、シーフの逃走率を実感できるケースはかなり限られることになります。

 言及されていない攻撃面についても、赤魔術士より弱いです。というか赤魔術士は戦士の次に強い武器を装備できます。赤魔術士は攻防ともに戦士に次ぐ実力を持っているのですが、なぜか説明書には全く書いていないので弱く感じるのも無理はないでしょう。

 第3世代以降から、素早さが攻撃面に影響するようになって大幅に強化されましたが、特に第2世代のプレイヤーがシーフに持っている印象は非常に悪いと思います。唯一の取り柄だった「逃げやすい」が取り上げられた状態ですからね。

とはいえ、シーフは忍者に強化されます。こうなると装備品の選択肢が大幅に増えて、防御面では赤魔を抜き、戦士(こちらはナイトに強化する)に次ぐ硬さを手に入れます。さらに黒魔法も覚えるようになって汎用性アップ。一般的な忍者のイメージとはかなりイメージは異なりますが、「戦士並みに重装備する忍者」というのは、本作が影響を受けている『ウィザードリィ』では基本的なスタイルとなっており、『FF3』でも引き継がれます。

防具の管理について

 本作では、武器と防具はキャラごとに4個ずつ持てます。共有アイテムとしては持てません(共有できるのは消耗品とイベントアイテムのみです)。つまり、それぞれ計16個までしか持てないということになります。

武器については1つしか装備できないので、キャラごとに3つの余裕がありますが、防具は盾・鎧(体防具)・兜(頭防具)・小手(腕防具)の4部位があるにも関わらず、合計で4つしか持てません。おわかりですね、全員がフル装備だと拾うことすらできなくなります

このため、管理のためには独特のテクニックが必要となります。例えば革の帽子・革手袋といった最下級の防具(防御力1ポイント)は、そもそも買わない(装備しない)という選択肢もありです。

耐性について

本作には8種類の属性が設定されています。特に、炎・氷・雷・毒についてはダメージに関わるので、耐性としてはより重要と言えます。

 シリーズ定番アイテムのリボンは、本作では全属性への耐性を持っています。耐性フラグは重ねがけしても意味がないので、リボンさえあれば他の防具の耐性は気にしなくてもいいということになります。

問題は、リボンが3つしかないということです。リボン以外で上記の4耐性をまかなうには、ドラゴンメイル(炎・氷・雷)イージスの盾(毒)を装備するしかないのですが、いずれもナイト(戦士の強化後)専用となっております。パーティ編成で戦士が必須と説明した理由です。

使用効果のある防具について

本作では、いくつかの武器や防具は戦闘中にアイテムとして使えます破損や使用回数制限といったペナルティはなく、何度でも無制限に使えるため、非常に頼りになります。いずれも、世界に1つしか存在しない貴重品です。

ここでも問題となるのは防具の所持数制限です。上手くやりくりするにはどうすればよいか、一例を紹介します。

いやしの兜

 その名の通り、使用効果でヒール(味方全員を小回復)を発動します。本作における貴重な回復手段で、終盤の継戦能力に大きく影響します。

 装備できるのはナイトのみ。2つ入手できますが、1つは素直にナイトに装備させるべきでしょう。防御力は最強であるダイヤの兜にやや劣りますが、この時点では軽微な差です

問題は2つ目です。頭防具については、ナイト以外は前述したリボン以外の選択肢はないので、例えナイトが2人いたとしても装備させるのは非推奨です。そのため、他の防具を1つ犠牲にして持たせることになります。モンクは盾を装備できないので嫌でも枠がでるのですが、他のキャラの場合でも盾を捨てるのが妥当だと思います。特に、魔道士でも装備できる守りのマント(こんな名前ですが盾扱いです!)は、重さもあって優先度は低いです。

ガントレット

平凡な名前ですが、サンダラ(敵全体に雷ダメージ)を発動します。上手くすると早期入手できるので頼りになるアイテムです。

 腕防具は、誰でも装備できる守りの指輪と競合します守りの指輪は単純な性能も高い上に、死属性への耐性を持つ強力な防具ですが、リボンさえあれば他の耐性防具は不要になります。そこで、リボンを手に入れたら守りの指輪は捨ててガントレットを優先するのがおすすめです(ナイト・忍者・赤魔道士が装備できます)。

白のローブ・黒のローブ

まとめて紹介しますが、その名の通り白魔道士黒魔道士の専用品です。それぞれインビア(味方全体の回避率アップ)とブリザラ(敵全体に氷ダメージ)を発動します。

 白魔道士黒魔道士の利点は、これらのアイテムを装備することで所持品枠を圧縮できることです。彼らがいない場合、どうしても防具を切り捨てる必要があります。優先するなら黒のローブで、白のローブは捨ててしまっても問題ないと思います。

巨人の小手

使用者の攻撃力と命中を高めるセーバーを発動しますが、この魔法自体がファミコン版ではバグで機能しません。よって、利用価値のないアイテムなので捨てて構いません。

これに限らず、バグで無効になっている魔法が多かったりするのが本作の問題点の一つなのですが……。バグが修正された第2世代以降では非常に強力なアイテムとなっております。

まとめ

ここで取り上げた要素以外にも、アドバイスしたいことは山ほどあります。例えば魔法の選び方だったり、ダンジョンの攻略についてだったり。しかし、何もかも教わったとおりにゲームをプレイするのは、あまり面白くはないでしょう

よって、ここでは特に初心者がつまづきやすい部分のみを重点的に解説してみました。この記事をきっかけにファミコン版FF1に手を出してみたり、あるいは昔プレイしたけど諦めたという方が再び手にとってみる機会となりましたら、執筆者としてはこの上ない喜びです。

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