全日本選手権 女子FS(in会場)

各選手感想

こちらは各選手感想のコーナー。

 

1.中井亜美 FS127.30(12位) 総合182.50(15位)

FS 「シンデレラ」

SPはまさかのミスで21位となり、FSを第1グループで迎えた中井選手。目標は冒頭に組み込んだ3A2本(片方コンビネーション)の成功。待機中(他の人の得点計算をしてる間も練習が可能。多分現地でしか見れない部分)も盛んにアクセルを確認していました。

迎えた本番では、2本ともしっかり着氷。片方はqになりましたが、まあ些事です。私初の生3A(1本目)にはちゃんと加点がつきましたからね。これだけでチケ代の元が取れた気分です(※親の金だけど…)

実は中井さん、2年前にも同会場で3Aを2本決めています。その時は忘れていたリカバリーも、しっかりリベンジ(リカバリーがある=ミスったということでもある。今回は3本目のコンビネーションが抜けてました)。総得点では2年前を下回りましたが、成長を感じられるフリーでした。

 

2.河辺愛菜 FS127.98(10位) 総合190.23(13位)

FS 「Paint it Black」

SPは接触事故がありつつも、転倒一つで乗り切った河辺選手。字面だけ見れば14位からの巻き返しですが、点数的には60点台(62)と危なげない範囲につけていました。

FSでは軽微な減点こそありましたが、近年稀に見るくらいの会心の演技を披露してくれました。北京五輪前の全日本(3位で五輪代表になりました)もミスがあったので、ノーミスで全日本FSを終えるのは初かもしれません。

身体のバネを表現に活かすのが上手い選手で、スケートもぐんぐん伸びるので見応えはかなりありました。反面、ジャッジアピールが多めなのでそこは微妙だったりも…(席がジャッジの反対側だったため)。現地で雰囲気を見て、映像で振り付けを見る感じになりました。

北京五輪シーズンから確実に成長しているのですが、3Aという飛び道具がない分点数や順位には結びつきにくいのが難点。今回はほぼ全員が良い演技を見せたのもあって、特に順位としてはやや残念な結果となりました。

 

3.櫛田育良 FS122.68(16位) 総合187.14(14位)

FS 「リトル・プリンス」

今回の本命その1です。昨シーズンはショート落ちがあり、シニア版FSを拝めませんでしたからね。ショート落ち…鐘…ウッ

もう始まりからして他選手とは一線を画しているのが分かります。場の雰囲気を変えるスターとしての才能と、スケーティングの良さ。これらが合わさり、繊細な楽曲に寄り添ったスタートとなっているんですね。

待機中に何度も確認していた冒頭の3Lz+3Tも、危なげなく成功。3本目の3Loこそやや崩れましたが、他の技術要素はなかなか良い質で実施できていたと思います。追加されたStSqも個性的で、面白みがありました。

 

4.渡辺倫果 FS132.59(6位) 総合198.55(7位)

FS 「ブエノスアイレスのマリア」

本日の本命その2。3Aも見れて大満足です(大ネタバレ)。

SPはジャンプの回転不足で伸び悩み、65点と悪くないスコアながら11位に留まった渡辺選手。FSでは自身のプライドと語る3Aに挑みます。

冒頭の3Aは、これまでで一番というくらいの質で着氷しました。現地効果とかではなく、FODで見返しても再認識できるレベルで質が良かったです。その後の要素も、3Loと最後のスピンを除けば危なげなく決めていました。

しかし、他シニアや一部ジュニアに比べるとスピード感に欠ける気がします。そこが良い、となる部分も多いのですが、現地で見ると流石にちょっと気になるというか、PCSがやや抑えられた原因が分かってしまったような。

 

5.和田薫子 FS128.93(8位) 総合195.63(10位)

FS 「タイタニック」

今シーズンで大躍進を遂げ、ジュニアの二番手に躍り出た和田選手。全日本でも素晴らしい演技を見せてくれました。ジュニア、シニア共に二番手が安定しているのは連盟としても心強そう。

FS「タイタニック」は演技として完成されている反面、回転不足がなかなか抜けないのが難点、というプログラムでした。しかし、今回はジャンプがかなり高くなっていた気がします。特に最後の3Lzは素晴らしい。

…が、総合得点は130を超えず。また回転不足かとモニターを確認してみれば、なんとPCSが58(※シニア選手は大半が60を超えており、麻央さまも63)。これには流石にキレかけました。せめて60以上はくれよと。原因もちょっとよくわかりません。地上波解説付きならわかるのかしら。

 

6.三宅咲綺 FS128.01(9位) 総合196.55(9位)

FS 「カプリース」

3T+3Tのかっとび具合が持ち味の三宅選手。坂本選手と同じ、中野園子コーチに師事しています。

中野園子コーチの門下生は全体としてジャンプの飛距離やリンクカバー率、スピード感といった部分に良さが見受けられるのですが、三宅選手もその例に漏れず、気持ちのいいジャンプや滑りを見せてくれます。

体のキレもよく、特に終盤の盛り上がりには凄まじいものがありました。手拍子があったのも一因でしょうか。

 

7.住吉りをん FS127.95(11位) 総合197.53(8位)

FS 「やまやAdiemus」

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ボケ倒しはさておき、演技を見ていきます。

とにかくスケートがよく伸びる選手で、序盤からぐいぐい動いていきます。神秘的で壮大な曲で振り付けられがちなのもよくわかる。

4T封印はグランプリシリーズから継続。まずはミスしないことを重視したのか、ジャンプは全体的に慎重だった気がします。

問題は4本目の3S。やや難しい入りだったからか、回しきれずに転倒となってしまいました。しかしその後の立て直しも早く、やや軸がズレた3Lz+3Tも意地の着氷。後半は回転不足がありながらも全てのジャンプを揃え、輝かしいStSqも魅せてくれました。しかしこれでもFS11位とは恐ろしい…。

 

8.青木祐奈 FS124.00(14位) 総合194.07(12位)

FS 「Popsical」

今シーズンはグランプリシリーズで表彰台にも乗るなど、着実にキャリアを積み重ねていた青木選手。全日本でもSPは好調で、6位につけていました。

FSでは冒頭の3Lz+3Loが抜け、苦しいスタートに。その後も後半の3Lzを転倒するなど、けして良いとは言えない内容でした。

しかし、ラストジャンプの3Fに3Loをつけてリカバリー。そこからのStSqは圧巻の仕上がりで、今大会でも屈指の点数を叩き出しました。ジャンプがかなりボロボロでも120点台を出せた理由ですね。

 

9.松生理乃 FS133.21(5位) 総合204.00(5位)

FS 「Lux aeterna」

本日の本命その3。とても美しい。

ついにSPのジャンプを揃え、70点台の激戦区を5位で終えた松生選手。珠玉のFSを全日本でも演じきれるかどうか、というところでしたが、これまででも最高の仕上がりだったのではないかと思います。

冒頭の3Loは文句なしの着氷。3Lzのコンビネーションは前半後半共にやや苦しかったものの、減点を最小限に抑えて着氷。残りのジャンプやスピン・ステップはほぼ完璧で、表現もしっかり乗っていました。唯一ミスがあったのは3S(2Sになっちゃった)ですが、まあご愛嬌です。

とにかくスケーティングが素晴らしい選手で、「伸び」すら意識させないままに加速しています。その上でターンの技術もずば抜けているため、このように繊細さと荘厳さを併せ持つ楽曲であってもしっかり表現できるんですね。「柔らかい表現」が得意な選手は数多くいますが、ここまで「(いい意味で)脆い」表現ができる人はなかなかいないのでは。

公式アーカイブ(YouTube)がないのが恨めしい。とにかく恨めしい。四大陸選手権代表とか言って上げておいてくれませんか???(四大陸は確定でアーカイブ上がるとはいえ…)

 

 

10.樋口新葉 FS135.35(3位) 総合206.40(3位)

FS 「Running Up That Hill」

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北京五輪予選会となった2021年から3年。樋口新葉が全日本の表彰台に舞い戻ってきました。

冒頭の2Aに大幅な加点をつけると、その後の3Lz+3Tも楽々着氷(qはついたけど…)。このまま残りのジャンプもいけるか、と思いましたが、まさかの3Sがすっぽ抜け。ラストの3Fもやや危ない降り方になりました。

とはいえ、素晴らしいパフォーマンスでしたね。アピールポイントや感情爆発ポイントがあちこちにあるので見ている側としても乗りやすい。特にトレードマークと言ってよいStSqからの流れは爽快でした。

おおよそ真逆のタイプである松生選手の後に来る、というのも何気に良ポイント。多様な表現手法が見られるフィギュアスケートであっても、雰囲気が180度変わるってなかなかないですからね。

 

11.千葉百音 FS130.97(7位) 総合205.69(4位)

FS 「アリアナコンチェルト」

SPは圧巻の演技で自己ベストを上回る得点を記録し、3位につけた千葉選手。FSではジャンプに苦しみ、かなり点数を落としてしまいました。

6分間練習で苦戦し、何度か確認していた3F+3Tこそ無事に着氷しましたが、3本目の3Sで転倒すると、その後のジャンプもやや苦しい着氷となってしまった印象です。スピンは相変わらず素晴らしい仕上がりでしたが、落とした点数をカバーするには至らず。PCSも転倒からか低めについてしまいました。

しかし130点台は堅持しているわけで、これで7位(FSのみ)とは恐ろしい大会です。2026年の五輪に向けて各選手の実力も高まっているのでしょう。(男子はやたら荒れたけど…)

余談:StSqはカスみたいな手拍子が気になってそれどころではなかった。スピンに入ったらリズムズレるのがわかってた分、余計にドギマギしてしまった。

 

12.島田麻央 FS143.42(2位) 総合219.00(2位)

FS 「窓から見える」

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本日の本命その4。有麻記念。私の夢が滑ります。

ジュニアでは未だ負けなしの島田麻央選手。しかし調子の浮き沈みはあるもので、ここ最近は大技以外でのミスもちらほら。全日本では「自分に勝つ」ことを目標に掲げてきました。

冒頭の3Aを回転不足ながら着氷させると、公式練習でも入念に確認していた4Tにトライ。勢いが足りず転倒してしまいましたが、その後のジャンプは全て完璧に揃えました。特に十八番の3Lz+3Tは素晴らしい仕上がり。

シニア版でのみ追加されるStSqも編曲・振り付け共に素晴らしく、プログラムの意図がくっきりと可視化されたように感じます。

結果としてはFSでも坂本さんに及びませんでしたが、技術点は大技の減点がありながらも80点台に乗り、トップに。大技を両方決めれば90~100点も目指せるスコアでした。

 

13.坂本花織 FS149.76(1位) 総合228.68(1位)

FS「Chicago(All that jazz)」

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本日のメインディッシュです。その3F+3Tの味は神戸牛A5ランクに匹敵すると言われている(適当)。

肝心の神戸牛3F+3Tこそオーバーターンが入り、3F+2Tになるというミスがありましたが、他の要素は圧巻の一言です。2A+1Eu+3Sの3連も、まさにリンクを切り裂く一撃、という感じ。

しかし現地で一番驚いたのはコレオシークエンス。スピード感が現地と映像では全然違います。現地だと気づいたらバレエジャンプ跳んで3Lz+2Tに移行してますから。その後の3Loも一瞬。PCSやGOEの高さにも納得です。逆にどう難癖付けると言うのか。

 

余談:鯛だった。

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感想は以上で終了ですが、おまけとして璃士くんFSも貼っておきます。最強ジュニアを見よ。(何気に男子も女子もジュニアが2位)

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