猫が追う八咫烏シリーズ(第二部+白百合)

こんころです。先日読んだ『望月』による精神的ダメージ及びイライラが全然抜けません。まさか読書で苛立つ日が来るとは思いませんでした。いや面白いんだけどさ。面白いんだけどね???

本日は八咫烏シリーズ第二部の感想をだらだら綴っていきたいと思います。辛いです。

 

 

※ネタバレ注意!!!

 

あと毒多めです。極力減らしたけどお気をつけて。

 

 

 

1.楽園の烏

開幕から何処の馬の骨とも知れぬ外界人(一般人間)が出るわ、雪哉は外界経験済みで中年男性になってるわと、読者を置いてけぼりにしてくれます。一緒にゴールしようって言ったじゃん💢(言ってない)。

…が、点が繋がってみると全部さらりと飲み込めてしまいます。結論だけ言うと、雪哉は博陸候雪斎なる独裁者で、外界人は朔王(『黄金の烏』に出てくる地下街の王)の息子で、山内は楽園でした。イヤサカナレー(白目)。

二部初回ということで、初見でも楽しめるまっさらな物語にしたかった様子。結果としてはこれ以上ないくらい上手くいっててすごい。新キャラ達もいい味を出していましたね。

 

2.烏百花 白百合の章

短編集第二弾。第二部に向けて作られたお話、という位置付けなのでそりゃそうなんですが、こちら(と『蛍』)は第二部を読み進めるほど傷が深くなる仕様です。『ふゆのことら』が貴重な癒し枠かな。市柳が二部に入ってから一ミリも出ないのでこれはこれで不穏ですが。

 

3.追憶の烏

『弥栄』の八年後。少女となった姫宮(紫苑の宮)を取り巻く環境から、物語はスタートします。最初は姫宮と雪哉のキラキラ少女漫画。

…が、ここから地獄への階段を転げ落ち、更に紐なしバンジーするのが『追憶の烏』。若宮殺害事件をきっかけに、事態は目まぐるしく変わっていきます。

まず奈月彦と明留(真赭の弟。『空棺』での雪哉の友人の一人。)が死にます。その後、この事件の謎解きパートを経て、政変パートが始まります。ここで舞い戻ってくるのが…あせび様。彼女は先代の金烏との隠し子を引き連れ、宮中に返り咲きました。

こうなると困るのが前皇后・浜木綿。南家に親を殺され、逃げ回ったり復讐しようとした経験のある彼女は、そのトラウマから政変を防ごうと立ち上がります(政変に親の仇たる叔父が絡んでいたのもある)。

これを止めたのが雪哉。彼は山内の平和を望み、思いとどまるよう提案するのですが…

「全て、皇后の思うように」

この奈月彦の遺言と、「お前は奈月彦を選ばなかった」という浜木綿の(あんまりな)言葉が決定打となり、全ては終わりました。HAHAHA。

雪哉は最速で東家と繋がり、実家(北家)を説得。北家の軍を率いて浜木綿一派を秒殺(浜木綿&姫宮は行方不明)し、博陸候雪斎と化したのでした。あーあ。浜木綿のせいです。

この辺りの話は『緑羽』でもなされるのですが、浜木綿は狂いっぱなしでした。嘘だろオイ。確かに短編でも後先考えず復讐に走ってたけども。

『追憶』が辛いと言われる理由がよくわかりました。私的には『弥栄』『望月』あたりの方がショックが大きいのですが、まあこれは推してるキャラが澄尾だからでしょうね。主人公がお辛い、という意味では『追憶』が最強でしょう。

 

4.烏の緑羽

『追憶』のちょっと前。長束様が、路近を知ろうとするお話。

ここでキーキャラクターとなるのは、『空棺』のヴィランにして、『弥栄』で雪哉と対立し失脚させられた男、翠寛。端的に言うと依怙贔屓教師(これは『緑羽』でダメ度が上がる)なのでまあカスなのですが、『空棺』での雪哉の立ち回りもヤバすぎたからか、八咫烏界隈だと再評価されてる節があります。『弥栄』で人となりも見えましたしね。

『空棺』でのドカスムーブも、元を正せば雪哉(+路近)のやり口が最悪なことに起因しますし。それにしたってどうかと思うが。雪哉を糾弾する台詞とか丸々ブーメランだし。

『緑羽』の大半を占めるのは翠寛の過去編。…なのですが、ここで印象が激変するのが路近。ちょっといじめっ子すぎてびっくりした。目的はともかく、思考と出力のプロセスはほぼテンプレいじめっ子じゃないですか。『空棺』の公近使い捨て事件(『緑羽』で度し難感アップ)といい、悪い意味で地に足のついた蛮行はやめていただきたい。やるなら大量殺人みたいな現実味のない悪行にしてくれ。

…そんな悪鬼羅刹の代わりに評価が跳ね上がったキャラが、『空棺』でも名教師と名高かった清賢。この人はこの人で浮世離れしているというか、頭のネジが一本行方不明な感じがしますが、それでもやってることは聖人のそれです。あとシャ○クスみたいなこともする。

で、長束様ですが…。『黄金』での無能ムーブの答え合わせが改めてされた感じになっています。清賢からは赤ちゃん扱いされ、翠寛による育児が始まる。この育児パートはかなり笑えるのでおすすめです。

この巻は良くも悪くも、「人格」を決める要因が良く描写されてるなぁと思います。路近だって最初からああだったわけじゃないので(生まれ持った異質さはあったかも)。あと構成が素晴らしい。

 

5.望月の烏

『追憶』の数年後にして、『楽園』の直前。再びの登殿と、澄生の戦いを綴る物語。

本来なら澄生に注目すべきところなんですが、私は第二章の『桂の花』で目の前が真っ赤になり、それどころではありませんでした。いやほんとに。

ここで出てくる鶴が音とかいう汚言失言姫が元凶となります。コイツは北家の姫なんですが、これがまあ酷い。『単』の白珠と真赭を合わせても遠く及ばないほどのストレスを私に与えてくれます。しかも澄尾だけならともかく、明留まで馬鹿にし始めますからねコイツ。西家に親でも殺された?(ちなみにこのクズの親は『主』に出てくる喜栄です。嘘だろオイ。)

鶴が音は結局劇中で凪彦に怒られたり他の二姫にハブられたりするのですが、前者はともかく後者は女のネチネチ感が漂ってくるのでストレスの再生産でしかないです。特に山吹。

(この展開に違和感を持てる桂の花、山内の姫でいるには勿体無いくらい優しい。)

『緑羽』では翠寛が「道理に適う裁きが欲しい」みたいなことを言ってましたが、私も同じような気持ちにされました。ただ酷い目に遭えばいいわけじゃない。ネチネチハブシーンを見て、そのことに気付かされた気がします。

(などと言いつつ、あせび様オンステージで鶴が音が死ぬのを期待するのはやめられないのですが。どうせ逝くなら密やかに速やかに頼む。)

…と、ここまで散々言いましたが、既存キャラdisという凄まじいブーストがなければ悪辣さでは白珠に劣ると思われます。あっちは身内を利用した脅し使ったり直接手を出したりしてますからね。見よ。これが北家だ。

で、澄生なのですが…こちらのパートは風刺コメディみたいになってます。慇懃無礼:EXの澄生様がツッコミ役のオッサンを引き連れ、現政権に殴り込みをかけるお話。澄生の思想はともかく、性格は楽しめました。俵乃氶のツッコミも良い。「絶対に嫌だが」「心強いお言葉、感謝致します」あたりのやりとりは特に好き。

あと言及しておきたいのが澄尾の子どもたち。澄生(実子かは怪しい)、茜、照尾、暁美の四人ですね。

茜ちゃんは(対外的には)澄生の双子の姉で、現在は桂の花付きの女房として登殿している子。『追憶』時点から出ているのですが、賢いしかわいい。しかし例によって、鶴が音にその出自をつつかれまくります。若かりし頃のママンが似たようなことやってただけになんとも言えない部分もあるなコレ…いや許さんけども。

照尾は長男で、容姿は澄尾そっくりらしい。キャッキャ。父同様の武人タイプなのですが、父母とは対照的に軟派な子らしい。それはそれでいざという時においしいキャラ像な気はするので、今後に期待です。

ただ、本編ではやたらピリピリしています。やっぱり澄生の計画とか知ってたんですかね。一応は家族だし。(でも知ってるなら俵乃氶をわざわざ近づけない気もする。わからん。)

暁美は次男で、やや臆病な医者志望の子。兄にひっついて動くさまがなんとも可愛らしい。男×2は明留から名前を貰ってる感じもして、読者はここでも追憶ダメージを入れられます。

で、肝心の主人公(?)・雪斎ですが…順調にラスボス化していっています。あせび様の息子・凪彦を支配下に置き、独裁者としてその辣腕を振るっているさまがご覧いただけます。しかしまあゲスすぎる。凪彦があのあせび様の息子って分かってる?大丈夫?

なお、凪彦くんはあせび様の姉・双葉に育てられたからか、普通にいい子です。母や藤波みたいにならなくてまずは一安心。というか、なんならヒーローになりそうな気配すらあります。まだあせび様真実に気づいてないのが怖いですが。

大紫の御前と化したあせび様ですが、こちらには特に動きがありませんでした…と思いきや、終盤になって善意の策動スタート。見事、キルスコアを1伸ばしました。いや澄生は死んでないらしいけど。そして今回ばかりはマジで悪意なさそうだけど。(裏で博陸候と繋がっていれば話は別。あせびちゃん様のことだしこっちのルートもなくはなさそう…)

あ、澄尾さまですが、描写がかなり減りました。出てはいるけど…のレベル。でも凪彦のおかげでちょっと美味しい思いはできました。私が。澄尾パパの供給もっと欲しいわね。

 

…と、こんな感じで二部の感想は終了。まさか既存キャラ(ロコン)の評価を下げに行くとは思いませんでした。鬼悪魔阿部智里は伊達じゃないですね。まあ路近推しはヤバさを薄々わかった上で推してるでしょうから、これくらいじゃ折れなさそうですが。むしろ心理描写でプラス補正かかってそう。つよい。

で、あせび様ですが…彼女と雪斎がどんな関係かがイマイチよくわかりません。雪斎はあせび様のヤバさを知っているはずなので、彼女が動かないよう制御しているとは思うんですがね。(それにしては凪彦の扱いが雑…)

この状況から『楽園』を経て、事態はどう動いていくのか。山内はどんな滅びを迎えるのか。次作への期待が高まります。滅ぼすならコナン映画並に派手にやってほしい()

 

おまけ

x.com

欲しいものリスト開放があれば烏の緑羽を送りつけていたかもしれない(最悪)

 

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