書痴が行く異世界転生物語『本好きの下剋上』

3回に1回はFF14の話してもいいよと言質を取りましたので、今回は14以外のお話。
さて、何の話にしましょうか。
そういえば少し前に、大人の夏の読書感想文の開催告知がありましたね。


このサイトのアンケートに投稿フォームあるので、参加される方はしっかりと書き上げて投稿しましょう。夏休みはあっという間に終わってしまうので、最終日になって焦っても遅いのです。
私は中学で夏休みの宿題提出は諦めました。

今回は読書繋がりで、とある本狂いの少女のお話を取り上げようと思います。
私の投稿記事では初のBLではない作品
私だってNLも嗜むんだぞーーー

『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~』

今回紹介するのは『本好きの下剋上』という作品。
本好きの下剋上 第一部 兵士の娘Ⅰ
著者は香月美夜先生。なろう連載からTOブックスで書籍化されており、現在短編集を含め35巻まで発売。次巻でついに最終巻を迎えます。
宝島社の「このライトノベルがすごい!」の単行本部門で2018年、2019年、2023年で1位を取り殿堂入り
コミカライズは現在、第二部、第三部、第四部が同時連載中。さらにジュニア文庫版も刊行開始。
アニメも第三期まで放送の超人気シリーズです!

あらすじ

三度の飯より本が好き、本狂いの女子大生・本須麗乃もとす うらのは、この春から念願の大学図書館への就職が決まっていた。しかしそんな夢を目前に控えた中、地震により自室で本に埋もれて死んでしまう。

しかし次に目を覚ますと、彼女は貧しく病弱な少女・マインとして転生していた。家に本は一冊もなく、無理やりねだって連れて行ってもらった買い物で、本がとても高価で庶民に手の出せるものではないことを知る。本がないことに絶望した彼女だったが、本が無ければ作ればいいじゃない!!と一念発起。近所の少年・ルッツを巻き込み、本を手に入れるために邁進していく物語。

とにかくこの主人公、本に目がない。本の為なら手段を選ばず、後先を考えず行動していく。その結果、彼女の周囲の人間は頭を抱えることになるのがお約束。
そしてそれは彼女の立場も大きく変えていく。
『本好きの下剋上』のタイトル通り、この物語は簡単に言うと主人公・マインが成り上がっていくストーリー。全五部構成の物語の中で、彼女の立場は

  • 第一部 兵士の娘
  • 第二部 神殿の巫女見習い
  • 第三部 領主の幼女
  • 第四部 貴族院の自称図書委員
  • 第五部 女神の化身

と、章タイトルでも分かる通り変化していく。
正直第五部とかもう意味分らんと思うが、こうなるんだって。本当だって。

しかし、ただの成り上がりストーリーじゃない所が、この物語が人気の理由。
個人的に推すのは、キャラクターストーリー、そして世界設定
特に世界設定は本当に練られており、これがストーリーにさらなる厚みを持たせている。

第一部。転生した先は兵士の娘であり、平民の子だった為、自身の住む領地や世界を知る機会は無く、ただただ本作りに邁進していた。しかし病弱な体で体力の無いマインは、外に出て少し歩くだけで寝込む程の虚弱体質。それでもなんとか体力をつけ、ルッツに手伝って貰いながら本作りにチャレンジするも、粘土板、パピルス、木簡と失敗続き。心が挫け、高熱で生死の境をさまようも、ルッツとの約束を守る為に、なんとか一命を取り留める。
ルッツの夢は旅商人になること。その為にルッツは、マインの父の同僚で昔旅商人をしていたオットーと会合する機会を作ってもらう。
読み書きに計算もすぐに覚えたマインに目をつけていたオットーは、義兄で商人のベンノを紹介する。ベンノはルッツを商人見習いにする為の課題として、二人に羊皮紙に変わる紙を完成させて持って来るよう言うのであった。

貴族とも取引のあるベンノさんが物語に登場する様になってから、この世界の仕組みが語られるようになってきます。
実はこの世界には“魔力”が存在します。しかし魔力を扱うのは貴族のみ。たまに平民からも魔力持ちは表れますが、基本洗礼を受ける7歳までに死んでしまいます。それは自身の魔力を制御出来ず、体が魔力に耐えられなくなってしまうから。魔力を制御するには、貴族しか持っていない魔力を吸収する魔術具が必要。しかしそれはとても高価なものであり、平民が使う為には大金を出すか、貴族の子飼いになるしか道はありませんでした。

紙作りに邁進していたマインでしたが、また倒れてしまいます。そして自身が“身食い”――魔力を持った平民であることを知ります。
貴族に飼い殺されるか、死ぬか――究極の二択を迫られることになります。
余命一年と宣告されたマインは、果たしてどうなるのか。本は出来上がるのか――。

ここまでが一部のお話になります。
これ書くのにちょっと読み返してたら、気付いたらまた最後まで読み返してたwやっぱり面白い!!!序盤から設定がしっかり練られていることが分かるくらい、自然に伏線が散りばめられているので、読み返すと気づく点が多数あります。
推しは一部ラスト付近からの登場なのですが、そこまでも十分に面白い。ホント何回読み返したか分かんないくらい、作品に引き込まれます!
ても第一部はホントに序章。物語は第二部から一気に進み始めます。

登場キャラクター

  • マイン

    今作の主人公。22歳で死に、異世界の少女・マインに転生した。転生した時のマインの年齢は5歳だったが、“身食い”という病のせいであまり成長せず、見た目は3、4歳ほど。とにかく本が何よりも好きで、本がないことに絶望して死にかけた程の本狂い。
    本の為なら猪突猛進。ベンノの下で本作りに勤しんでいたが、身食いの進行により余命一年を宣告される。しかし7歳の洗礼式の日に、洗礼を受けるために入った神殿で図書館を見つけたことにより、運命は大きく変わっていくことに――。
  • ルッツ

    マインの家の近所に住んでいる平民の少年。マインと同い年
    マインに恩を感じ、虚弱体質のマインに付き添い、マインの本作りを手伝ってくれた。
    旅商人になる夢を持っていたが、マインとオットーに諭され商人見習いを目指す。
    マインに付き合ううちに、マインの良き理解者となり、さらに体調管理から暴走しがちなマインの制御まで完璧にこなすように。
    マインもルッツのことを一番頼りにしており、家族にも明かしていなかった前世について彼に明かしている。そして前世を含めてマインとして受け入れてくれた。
    「マインが考えるものは俺が作る」という約束を守る為、彼は今日もマインの為に奔走している。そして無理難題に挑み続ける苦労人。
  • ベンノ

    服飾店ギルベルタ商会の若き大旦那。利に敏く野心家な商人。
    マインの生み出す商品の数々に商機を見出し、マインに目をつけてしまう。
    結果マインの思い付きで生み出されまくる革新的すぎる新商品の数々に、胃を痛めることに。市場を揺るがしかねない品々に頭を抱えながらも、マインがあくどい商人や貴族に目を付けられないよう、彼女の存在を隠しながら世に出すタイミングを調整していた。
    マインに商人のいろはを叩き込んだ師匠で、マインの信頼も厚い。
    面倒見がよく、厳しいことを言いながらもマインとルッツの成長を見守り、そして危険な目に合わないように動いていた頼れる大人。
    マインの本作りにかける情熱と暴走に振り回されていくことになる苦労人その二。
  • フェルディナンド

    神殿の神官長。老けて見られがちの20歳。
    マインが神殿へ再び訪れた時、神殿長に頼まれてマインに聖典の読み聞かせをしてあげたのが、マインとの出会い。この時マインに聖典を実際に読みたいと強請られ、膝の上に乗せて読み聞かせをしてあげた。
    マインの魔力に目をつけ、彼女を神殿に囲い込もうとする。結果なんやかんやあって、マインは神殿へ巫女見習いとして入ることに。
    初めはマインの魔力を見込んでのことであったが、徐々に彼女の優秀さや特異さから、彼女に目をかけあらゆる教育を彼女に施すように。
    実は本来神殿に入るような身分ではないのだが、義母との確執から自ら神殿に入った。
    ハイスペック仕事人間。神殿のあらゆる業務をこなし、さらに城の政務まで手伝っている。
    マインの虚弱さを見誤り、倒れさせてしまったことが軽いトラウマになっており、結果彼女の為の回復薬や健康診断、体調管理まで担うように。マインの教育係であり主治医であり、そして――。
    マインの暴走に振り回されていくことになる苦労人その三。

他にも魅力的で個性的な登場人物が数多く登場しますが、とりあえずマインの本作りに振り回され続けることになる、主要人物のみ紹介いたしました。
軽く二部くらいまでの紹介なので、ここからさらに関係性は変化していきます。三部から一気に登場人物が増え、四部ではさらにさらにさらに増えていきます。
面白い奴もいっぱいいるので紹介したいんですが、ホント多すぎるの…。

作品の魅力

この物語、とにかく先の展開が読めません。というか神官長が主要人物だなんて、最初全く気づかなかったし…ちゃんと読めば2部プロローグが神官長視点だから、分かりやすい伏線は貼ってあったんですけどね…
重大な物語の設定を隠して物語を進めるのが上手いんですよね。普通魔法が使える世界なら最初から描きますよね?でもこの作品はそれをやらない。それは平民には魔力は縁遠いものだから。一人称視点の物語の為、主人公が生きて感じて知れる範囲のことしか明かされない。例えそれが作品の根幹でも、主人公がそれに出会うまで決して作品に匂わせない。魔力の話が出るのはベンノさんに出会ってから。しかしそれも、そういうものが”ある”というだけで、実際に魔法を目にするのは、貴族であるフェルディナンドが登場する二部以降。それまではじっくりと話を進めながら、それでもダレることなく、夢中になって読みふけれる作品。
いや、ホント凄い…練られた設定に話作りの丁寧さ、そして面白さが上手く調和した美しい物語になっております。

あとはまぁ、これは個人的最推しポイントなんですが
やっぱりフェルディナンド様とマインの関係ですよね!!!!!!!!!!!
ネタバレなので、あまりこう全部を語るわけにもいかないんですが、もうこの二人の関係の変化が素晴らしく最高に尊くて…!
フェルディナンド様って家族愛に飢えてるんですよね。愛妾の子で義兄や義父との関係は悪くはなかったんですが、義母から何度も暗殺されかけた程疎まれてるんですね。義母の派閥が領内で一番強かったので、義父も義兄も庇いきれなかった。結果誰の事も本当に信用することが出来なくなって、さらに教会に送られたことで全てを諦めていました。
そこに表れたのが、平民のマイン。貴族ではありえない、マインと家族のお互いを思い合う愛情の深さに憧れを見ました。
憧れの家族そのものであるマインとその家族を守る為に、フェルディナンド様はマインを庇護下に置きました。マインが貴族から自身と家族を守れるように、あらゆる知識と教養を与えていくのでした。(こう書くとすっごく優しい先生みたいだけど実態は鬼教官)
そしてそんなフェルディナンドにマインも信頼を寄せていくようになります。
まぁ、初手聖典を読んでくれたり、マインの暴走を止めてくれたりで、好感度は割と最初から高めなのですが。(特に貴族でもそんなに持っていない高価な本を大量に所有している時点で好感度爆上がりよ結婚相手の条件に蔵書量がある女だぞ)

この二人の関係が、平民と貴族、神官長と青色巫女見習い、領主の幼女とその後見人と変化して行くのと一緒に、マインの中でもフェルディナンドは家族同然に心許せる人になっていきます。そしてそれはフェルディナンドが欲しくて仕方なかった家族愛そのものだったのです。このあたりからフェルディナンド様のマインへの想いがとんでもないことになってるのが、マイン視点でも透けててやばかったですねw
マインは鈍感やから気づかんけど。
マインから「家族同然」って言ってもらえてから、フェルディナンド様がやたらと「家族同然」って言葉を使うの可愛すぎるんだよなあw言質取るの大好きな人だからな仕方ないね
四部ラストからの展開が辛すぎて、現実でも作内でも「フェルディナンド様を幸せにし隊」が結成される程、フェルディナンド様はマイン以外にもいろんな人から愛されてるんだよってきちんと自覚してもらいたいものです。



そんなわけで本好きめっちゃいい作品なのでオススメです。
読み始めたら寝る間も惜しんで仕事中にも読み続けて、枕を濡らしながら読み進めたほど(ハマったら毎度やん)
なろうで全話読めるので、一度触れていただけますと幸いです。

本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~

書籍版ではマインとは違うキャラの視点が描かれる短編が書き下ろしされています。
マイン視点では知ることのできなかった舞台裏や、キャラの心情を見ることが出来るので、良ければ書籍版にも触れてみてください。
次巻はついに最終巻!!!なろうで読んでいるので結末はもちろん知っていますが、やはり書籍がでるのは楽しみで仕方ありません。あのシーンの一枚絵あるかなー、あのシーンも、あのシーンも!!!!
あとはやっぱり書き下ろし!!書き下ろし誰視点かなーどのシーンかなーうふふふふワクワク楽しみやばたにえん
今からでも間に合う!全話読んでブルーアンファが舞い踊る最終巻を一緒に心待ちにいたしましょう!!神に祈りを!!!

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