「<西の魔女>を殺すのじゃ」
────ライマン・フランク・ボーム『オズの魔法使い』
こんころです。ブログも小説も進まなくてつらい。やる気の浮き沈みが分単位で来る。新生活の準備もあんまりできてない。
そんな現実はさておき、今回は映画『ウィキッド~ふたりの魔女~』の感想を書いていきます。麻央さまSPにつられてなんとなく行ったら3時間くらい拘束されてしまった。
(前提としてステータスを書いておくと、原作小説は下巻序盤まで読んでるってくらいの知識量です。ミュージカル版は未履修…というか、ミュージカルそのものをあまり見ません。『オズの魔法使い』の内容に至ってはうろ覚えかすら怪しいレベル。)
あらすじ
『オズの魔法使い』における「西の悪い魔女」たるエルファバと、「南の善い魔女グリンダ」の学生時代と、『オズの魔法使い』本編に至るまでを描く物語。(映画は前編なので、描かれるのは学生時代のみ。)
シズ大学に入り、ルームメイトとなったグリンダとエルファバは、初対面時から互いを嫌い合っていた。しかし、グリンダのある行動がきっかけとなり、二人は友情を育むことになる。
入学時に魔法の才能を見出されたエルファバは、やがて彼女を見出したマダム・モリブルの推挙により、“オズの魔法使い”との対談の機会を得る(グリンダも同行)。しかし、対談の過程である真実が明るみになり…?
登場人物
☆エルファバ
生まれつき緑色の肌を持つ女性。その肌色と怒った時に発生する現象(魔法の暴走)により、周囲から嫌われてしまっていた。”オズの魔法使い”に子どもの頃から憧れている。
☆グリンダ(ガリンダ)
めちゃくちゃ美人なピンク女。当然のごとく人気者なのだが、本人が渇望する魔法の才能は得られずにいる。魔法使いになるべくマダム・モリブルに便宜を図りまくる傍ら、婚活にも励む出来る女。本来の名前はガリンダだが、後にグリンダと名乗るようになる。
冒頭では「南の善い魔女」として登場する。
☆マダム・モリブル
シズ大学で魔法を教える教授。ただし、ごく少数の才能ある者しか相手にしない。エルファバの才能を見出し、自身の生徒にする。得意な魔法は天候操作。
実は”オズの魔法使い”の側近。「魔法使いの側近」としての終盤の言動は必見。アカデミー賞俳優(ミシェル・ヨー)の演技が光る。
☆ネッサローズ
エルファバの妹。生まれつき足が不自由であり、父からは非常に心配されている。大学では自立した新生活を送ることを望んでいたが、初っ端から大学職員に介助されそうになったり、それに怒った姉が大騒動を起こしたりで非常にツイてない。不憫。
後に同郷の青年・ボックを見初め、恋仲になるが…?
☆ボック
モコモコ頭の冴えない青年。エルファバ姉妹の父が治める国・マンチキンの出身。
グリンダに恋をするも、グリンダの策略によってネッサローズと接近することになる。なお、グリンダからは「ビック」などと呼び間違えられている。
☆フィエロ
ウィンキー国の王子で、数々の大学を退学になっているプレイボーイ。入学前にエルファバと出会い、おもしれー女イベントを起こす。入学当初はグリンダと互いに接近するが、後にエルファバに惹かれていく。
乗っている馬とは仲良し(映画版)。
☆ディラモンド
シズ大学で歴史を教えるヤギの教授。オズ世界に存在する「言葉を話す動物」の一人。上の歯がないため、ガリンダの名前をグリンダと間違って発音していた。
オズ世界で進む動物差別政策に悩んでおり、手を差し伸べてくれたエルファバと親しくなる。
映画中盤では動物が教師になることが禁じられたため、彼も大学を追われることになる。この騒動がフィエロとエルファバの関係を変え、ガリンダの改名のきっかけともなる。
☆オズの魔法使い
エメラルド・シティの支配者。高名な魔法使いであり、人々の願いを叶える力を持つとされる。しかしその正体は外界の一般人であり、そのことを悟られぬように動いている。オズ世界を支配するため、優秀な魔法使いを欲している。
原作小説との相違点
『オズの魔法使い』に着想を得てグレゴリー・マグワイア氏が著した小説『ウィキッド』を基にミュージカルとして制作されたものを、更に映画にしたのが本作。
ミュージカルになる過程で大幅に作り替えられたため、原作小説との相違点は数え切れないほど存在します。例えば、エルファバ姉妹の父はミュージカル版だとマンチキンの総督なのに対し、原作では牧師だったりする。
その中でも今回は「原作小説の推せるポイント」と、「原作とミュージカル版(映画版)で違いすぎるポイント」に焦点を絞り、両者の違いを見ていきます。
1.明らかにR18
原作小説はエルファバの出生から事細かに記されているのですが、その中にはエルファバ母の浮気もしっかり描かれています。
まあ映画版でも浮気の瞬間そのものは押さえられているのですが、原作は描写のレベルが桁違い。「(浮気相手)さんとのくねくねダンス」だの、「二人の午後の情事」だの、どう考えてもセッ○スとしか思えない言葉が並んでいます。というか本文にそのままセッ○スって書いてある。
セッ○ス描写は母のものだけに留まりません。なんと原作ではエルファバ自身もセッ○スすることになりますし、子どもまでできちゃいます。お相手はフィエロ。
余談:小説版フィエロは身分こそ王子ですが、気弱な青年になっています。配偶者(政略結婚)もエルグリとは別にいたりする。
2.ネッサローズ
映画版では不憫な女の子と化しているネッサローズですが、原作小説では(父が牧師なため)信心深く、一風変わった美を持つ少女として描かれています。突然涙を流しながら祈りだしたりする変人でもある。
身体障害の度合いも変わっており、小説版の設定は「歩き方が不自然で、両腕が無い」というもの。
ちなみに、小説版で「浮気相手の子」と明確に匂わされているのはネッサローズの方だったり。(そもそも原作小説でネームドの浮気相手がつくのはエルファバが生まれた後。ただしエルファバ出産時にも浮気の疑いそのものは浮上する。)
3.大学の雰囲気
原作小説は結構陰鬱だったり、バイオレンスだったり、難しい方向に向いたりするため、ミュージカル版を見るような気持ちで読み始めると痛い目を見るかもしれません。が、そんな原作小説にもミュージカル版の雰囲気を感じられるタイプの美点はあります。それはシズ大学編。
なんと、エルファバに「グリンダを介さない」友達ができています。お相手はボックとその友人。小説版ボックはグリンダに惚れている部分こそそのままですが、エルファバの良き友人(幼馴染)として動いてくれます。青春っぽいパートもある。まあその分エルグリの関係は微妙になってたりしますが…。
総評
映画版を見て、小説版を半分以上齧った上での感想となります。
映画版はまあまあ面白かったです。メッセージ性の部分は割と今時の他作品と被るので普通ですが、エンタメ性の高さには目を見張るものがあります。ミュージカルパートはもちろん、学園ものとしての完成度が高い。学校という箱庭の表現が秀逸。でも大学と言うには幼い。(小説版はより大学らしい学園ものが読めるぞ!)
一方の小説版はというと、比較的良さげな学園パートを含めても、正直「娯楽」としては全く刺さりませんでした。小説・ミュージカル(映画)共に本筋としては教養や時事、哲学(?)が散りばめられた作品なので、向き不向きが激しそう。映画版も二部は学園ものじゃなくなりますし、どうなることやら…。
あと原作版ネッサローズと映画版マダム・モリブルはかなり好き。当然ながら歌も好き。
映画版(ミュージカル版も?)後編ではネッサローズが大暴れすると聞いたので、そこを楽しみに待とうと思います。
追伸
麻央さまSPの『Defying Gravity』はミュージカル版ウィキッドの音源なんだからそっちを見るべきでは?というツッコミは受け付けないものとする。(映画版、ゲストとはいえイディナ・メンゼルも出演してるし…)
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