怪獣とヒーローとＢＬ【ウウウルトラC】

『ウウウルトラC』

昭和45年3月。
東京は祖師谷に住む正太郎は恋人・狐塚君と二人暮らし。
世間では人の怪獣化が感染症として認知され、
受け入れを促す一方で不穏な空気が漂っていた。
正太郎は正義に憧れるその一人。
しかし、怪獣の血を浴びたことにより日常は一変する。

怪獣、
ヒーロー、
巨大ロボット、

3人の主人公たち。

昭和の遺物を巡るアバンギャルドな特撮ドラマ。

公式サイト引用

ジャンルは『昭和×ヒーロー×大怪獣 R18BLGボーイズラブゲーム』

前作『古書店街の橋姫』が主人公総受けだったのに対して、今作は『三人の主人公』による固定CPになっているのが特徴。
次作『大穢おおえ』が主人公総攻めなので、あえて同じ形式を取らず様々なプレイーヤーの好みに合うような作品作りをされてるのかなと思っています。

舞台は高度経済成長期の昭和日本。
主人公はヒーローに憧れる青年、籠目正太郎かごめ　しょうたろう。
アクション俳優を目指しながら、新聞配達と電話交換手のアルバイトをしている。
そんな彼には恋人がいる。
名は狐塚こづか明あきら。
祖師谷のアパート「雀荘」で二人暮らしをしていたある日、警察から明が女児誘拐の疑いがあると連絡が入る。
彼は『妹』だと言い張っているが、どうにも怪しく……。
あわや全員逮捕というそんな最中、突如現れた怪獣！！
明の危機に飛び出した正太郎は、怪獣の血を浴びてしまい——！

ウウウルトラC OP『uprise!!!』
今作、タイトルに『ウルトラ』と入っていますが、作品の印象はどちらかと言えば日曜朝のヒーローの方が近く感じました。
というのも今作、全三話で一話ごとに主人公と作風が異なり、第一話は「日曜王道アクションストーリー」、第二話は「怪奇ミステリー」、そして第三話は「戦隊ヒーロー物」なのである。
前作の橋姫も攻略対象ごとにテーマが異なっており、これがADELTAの特徴でもあり、作品の魅力でもあると思います。
同時系列を各主人公それぞれの視点で追っていくストーリーは、ヒーロー物のテーマの一つである『誰かの正義は誰かにとっての悪』を見事に描いています。
全3話全てを見て初めて、物語の全容を知ることが出来るストーリーになっています。
あと今作の特徴と言えば何と言っても多すぎるスチルの数々！！
なんとそのスチル総数は1000枚以上！！！
作品自体は選択肢のないノベルゲームなのですが、そのあまりのスチルの多さに正直恐怖を覚えましたね…。
これ同人ゲームなんですよ…。4,950円(税込)なんですよ……。
クオリティ高すぎるってばよ……。
このスチルの多さから、ノベルゲームというよりはドラマを見てるようなゲーム体験が出来るのも今作の魅力！
お次は個性豊かで魅力的な登場人物たちのご紹介

登場人物

声：佐野裕理
第１話「日曜王道ストーリー」の主人公。24才。受け。
アクション俳優を目指すアルバイター。
表情筋はあまり動かないが、心の中では様々なことを考えている。
アクション俳優志望だけあり、小さく細い体ながらかなりの力持ち。
温厚な性格だが、人一倍正義感に溢れており、自身の危険を顧みず怪獣の前に飛び出すヒーロー性を持っている。それが原因で彼は怪獣の血を浴びてしまい、彼の生活は一変することに——。
恋人、狐塚明と共に祖父江にあるアパート「雀荘」に二人で暮らしている。
付き合って一年の熱々アベック。
第一話らしく王道カップルだが、BLゲームで最初からデキてるCPって実は珍しい…というか初めてだったのでビックリしました。

声：笠荻健斗
第１話攻略対象であり籠目正太郎の恋人。19才。攻め。
肩にかけたジャケットに給料袋をツッコんだ腹巻、ゲタを突っかけ猫背で歩く姿から誤解されやすいが実は売れない漫画家。江戸っ子口調で話すわんこ系攻め。
年上の恋人である正太郎を「正ちゃん」と呼び溺愛しており、彼のパジャマの柄を操立てとして左腕に彫っているのはちょっと怖いw
正直に言おう。めっちゃビジュ好みのワンコ攻め最高です！！

物語開始時から付き合っているので、ヤルことはヤってる。めっちゃヌルっとエッなシーンに入るし、一番ヤってます。
麻雀が趣味であり、色んなことを麻雀で表現しがち。
そんな正ちゃん大好きな彼ですが、実は明かしていない秘密があり、その秘密が正太郎との間に不和を生むことに——。
明正は癒し。可愛い2人の関係に悶えてください。

声：鏑木真
第２話「怪奇ミステリー」の主人公。27才。受け。
帝学法学部卒弁護士資格持ちのエリートカメラマン。
怪獣に家族を奪われた過去があり、その時助けに来てくれなかったヒーローを憎んでいる。
金にがめついゴシップカメラマン。性格が悪い上に口も悪い差別主義者の為、友人はほぼ皆無。
そんな性格終わってる彼だが、幼い頃結婚を誓い合った初恋の相手「ベルちゃん」を一途に愛し続けており、この歳まで純潔を貫いてきた。童貞。その為、性的な知識は皆無。騙されやすい。第2話冒頭の羽蘭との会話を最後まで覚えておきましょう。
何故かやたらと変態に好かれやすく、妙な事件に巻き込まれやすい体質。

とある事件で初恋相手「ベルちゃん」と再会するが、その再会は彼の運命を大きく変えてしまうことに——。
素直になれないツンデレ昭和男。でもすぐ泣く。昭和の男のくせにすぐ泣くゾ！！
拗らせまくった初恋の行方は——！！？

声：八神大輔
第２話の攻略対象。27才。攻め。
史郎の初恋相手「ベルちゃん」。その正体はオネェであり怪獣だった！！
物静かで落ち着いた性格。何よりも美に執着しており、常に美しい自分である様心掛けているのは誰の為か。
初恋の相手がオネェだったことに、ショックを隠し切れない史郎に対して、優しく接することの出来る紳士。しかしそんな一色のことを史郎は拒絶してしまう。

偽物の白いイカロスとして暗躍中。イカロスに強い恨みを抱いてるようで——。
ドイツ系の長身美人。その身長はヒール込みで193㎝！！
アソコの大きさも作中一の彼に愛される史郎の運命は！！？
鈴史てえてえ。ED曲は必聴。


オネェ攻めはやっぱ最高です。

声：神崎智也
第３話「戦隊ヒーローもの」の主人公。28才。受け。
大人気国民的ヒーロードラマ「太陽戦士イカロス」の主人公を父親から受け継ぎ、二世ながらも類い稀なる演技力で一躍人気俳優となった。国民憧れのヒーロー。
実は俳優はオモテの顔であり、その正体は現実世界で怪獣を倒す「戦隊イカロス」のリーダー。
幼い頃から共に過ごしてきた雲雀野夜美と犬のタロウにのみ心を許しており、彼らが十郎にとっての心の拠り所になっている。

正直1話、2話とプレイした後、十郎に抱いていた感情から第3話はかなり意を決してプレイし始めたのだが、始めてみたらあまりにも真っ当な「戦隊ヒーローもの」をお出しされてびっくり仰天した。
戦隊モノ好きな人なら序盤の雰囲気めっちゃ好きだと思うし私も大好きです。
しかしBL作品としてはタブーとも言える「女性の婚約者」がおり、しかもめっちゃ堂々と登場するしデキている。これが意味するものとは——！！？
彼の深すぎる愛に溺れ怯え、その結末をぜひ見届けて欲しい。

声：美藤秀吉
第３話の攻略対象。攻め。
黒い学ランに身を包んだ怪しげな雰囲気のある不思議な青年。
幼馴染の十郎に付き従い、芸能生活とヒーロー生活に疲労する彼を優しく癒す。
戦隊イカロスのメンバーだが、変身することは出来ず司令塔として活躍している。
草木にも敬語で話す優しい青年だが、その笑顔の裏に隠した素顔とは——。

今作きっての規格外化物CP。
ネタバレ配慮の為言えないですが、彼の愛も本物です。愛しているからこそ、幸せになって欲しいと願う。それを当人が望んでいないとしても……。
ところで彼らの受け攻めは力関係によって決まります。強い方が攻め。そういう決め方もあるんスね……。好……。
第3話クリア後のオマケに泣いたのは私だけではないはず。
ぜひクリア後は公式サイトの後日談を読んでください。
夜十ふぉーえばー…。この作品のタイトルは彼らの為にある。
EDも必見。オマケからぜひ見てください。


この作品きっての癒しキャラ。
第３話で彼に萌えた人は数知れないだろう。
何故か人語で話す記憶喪失の犬。
十郎のペット兼便利な変形アイテム。
怪獣の気配を察知することが出来、怪獣を倒すごとに記憶を一つ思い出す。
十郎にとって戦う理由の一つである。タロウが可愛すぎたので、攻略キャラではないが紹介させていただきました。
タロの他にも魅力的なサブキャラが多数登場するウルC！！
ぜひ第３話までプレイしてください。

感想

昭和レトロな雰囲気と特撮ヒーロー要素たっぷりのBLゲーム。
三者三様、３つのCPそれぞれの愛の形が楽しめる名作。
前作「古書店街の橋姫」が主人公総受けだったのに対して、今作はただ一人への愛を貫き通す姿がたまらなかったです。(前作は前作でそれぞれの攻略対象との愛の形がたまらなかったのですが)

一つ注意点があるとすれば、ウルCにはクリア後のシーン回想、スチル鑑賞がありませんので、こまめなセーブをオススメします。
シーン回想は前作にもありませんでしたが、スチル鑑賞まで無くて驚きましたが、まあプレイ中なんとなく無いんだろうなという気はしていました…。
というのも、冒頭にも書いた通りウルCのスチル総数は1000枚越え！そりゃスチル鑑賞なんて実装できないってばよ。
その代わり、デジタルアーカイブが1,650円(税込)で購入可能なので、見返したい方はそちらの購入もオススメです。
さらにさらに！！来春にはウルCのオフィシャルビジュアルファンブックの発売が決定！！
楽しみ！！！！！！！

ゲーム内のクリア後要素は少ないですが、公式サイトにQ&Aや後日談があるので、ぜひそちらも見て下されば作品をより深く楽しむことが出来ます！
とりあえず繰り返しになりますが第3話クリア後は、絶対後日談読んでくれ。救われるから。

エピローグとして、攻め視点でのえっちな話が私たちを喜ばせてくれるのですが、ごめんなさい。両方とも爆笑してしまいましたｗｗｗ
とくに明視点はいかんｗｗｗｗｗｗｗｗ
机叩いた手が痛いじゃｗｗｗｗｗｗｗｗ
とりあえず麻雀で例えるのをやめろｗｗｗｗｗｗｗ
あまりにも最高だったのでサムネにしました。
四槓子とか馬鹿じゃねえのwwwwwww
今回、ころくさんのこのツイートから勢いでウルC紹介記事を書いたのですが、肝心要の愛されたい系ラスボスの話をガッツリ書かなかったなーっと反省したので、ここで追記しとこうと思います。
地球侵略の為にやって来た異星人は、トラブルにより瀕死の重傷を負いました。
そんな彼に、孤独な少年が手を差し伸べました。
彼は言います。
「ずっと家にいて、僕の帰りを待っていて」
「逃げないでね。その時は君の足を折るから」
彼の狂気と孤独を、侵略者は感じ取ってしまいました。
侵略者は傷を癒しながら、孤独な少年と共に過ごしました。
やがて傷が癒え、少年が青年になっても、侵略者は彼の隣にいました。
しかし侵略者は恐怖を覚え始めます。

「違う寿命を生きる彼は、いずれ自分よりも先に死んでしまう。
置いて行かれた自分が一体どんな感情になるのか——」

それを恐れた侵略者は、再び地球侵略を、そして母星への帰還を目指した。
しかし孤独な青年は——、侵略者を愛した人間は、ただひたすらに彼だけを求め続けました。
そうして悪役となった彼らは、ヒーローによって倒されました。
その後の彼らを知る者は誰もいません。
——ヒーローもののお約束。
最後はハッピーエンドで幕を閉じるのです。

ウルトラCがあったっていいじゃないですか。
たとえその終わりがあるとしても——。

 

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