1月某日、地元の市役所からとある一通の封書が家に届いた。
相続人代表者指定届の提出について(お願い)
平素から、本市の税務行政にご理解とご協力をいただき、厚くお礼申し上げます。
亡くなられた方に課税されることとなっておりました市民税・道民税・森林環境税につきましては、相続人の方々に納税義務を承継(地方税法第9条に規定)していただくことになっておりますので、同封の「相続人代表者指定届」の提出をお願いいたします。
なお、後日、相続人代表者の方に納税通知書を送らせていただきますが、相続放棄をされて いる等、特別な事情がございましたらお手数でもご連絡ください。
被相続人名(亡くなった人の名前)の欄には父親の名前があった。
筆者は1歳の頃に母親と父の家を出て、顔を合わせたのは「お父さんに会いたい」と行った8歳の時と、父方の祖母の葬儀の時があった9歳の時の2回だけで、実のところ、顔も全く覚えていない。
ただ覚えているのは、母親が暴力を振るわれ、筆者自身がお腹の中にいるときに蹴り上げられた事。
父方の祖父の葬儀の時に父に太ももを撫でられたり、寄った勢いで寝ている自分に抱きついてきた事。
離婚調停で母と父が争っている時に「俺で先祖じまいでも構わない、子供なんていなかった」と存在をなかった事にされた事。
そして何より一番不安だったのが、父方の祖母の葬儀の時に父の一軒家があり土地があった事――――。
上記のように親族の遺産を引き継ぐ理由もなく、もしも急に土地やお金などの財産、住民税の支払いや借金などを急にまるごと背負うことになってしまったら?
という事で今回は被相続人に父母、兄弟、配偶者がおらず子が相続する事になってしまった単身者向けの「はじめての相続放棄」をテーマに、弁護士や司法書士を頼らず、自身のみで相続放棄をしたい場合に必要になるものや手続きについてなるべくわかりやすく書いていきたいと思います。
人生でそんなに相続放棄の機会がある訳ではないので、本当に困ってしまった時に見て頂き、少しでも参考になれば幸いです。
初めにやること
文書が届いた市町村の連絡先に相続放棄の旨を連絡する
相続放棄は被相続人が死亡した通知を受け取ってから3ヶ月以内に全て終わらせなければ自動的に相続する事になってしまうので、スピーディに終わらせなければならない。
まず初めに被相続人の死亡が通知された書類に記載されている窓口に連絡して「相続放棄を予定しております」と言えば待ってもらえる。(相続放棄手続きの途中に進捗確認の連絡が入る事も有り)
必要なものを洗い出し、管轄の家庭裁判所に確認を取る
結構地方によって違いがある部分なので、図書館の本やインターネットなどで必要なものを調べる。
どちらの方法も経験していない事は書けないので情報収集に苦労するものの、公平な立場でしか教えてくれないので家庭裁判所に電話をする前に事前に調べておいた必要なものをリストアップし、「○○は必要ですか?」と一つずつ確認するのがベター。
家庭裁判所に送るにあたって必要なものリスト
相続放棄申述書
被相続人の本籍地の管轄の家庭裁判所のHPから相続放棄申述書の書式をダウンロードして印刷、記入する。
もしも本籍地に行ける場合は家庭裁判所でもらって記入する手も有り。
記入する際に被相続人の相続財産や負債が不明だった場合「不明」と記入してもOK。
相続放棄理由に関しても「遺産分割協議に関わりたくない」「負債があるため」等、簡潔なものでよい。
被相続人と申述人の戸籍謄本、改製原戸籍謄本
本来、本籍地でないと戸籍謄本を入手する事は出来なかったものの令和6年3月1日以降、本籍地以外でも取り寄せが可能になったので遠方に住んでいる場合は最寄りの市役所、区役所の窓口で依頼出来る。
申込日から翌日~1週間程で取り寄せ可能。
被相続人の住民票の除票もしくは戸籍全部事項証明書
どちらかの書類があれば相続放棄の申込みが可能。
本籍地に行ける場合は戸籍謄本と一緒に申し込みするのが手っ取り早い。
ただし、どちらの書類でも戸籍謄本とは違って本籍地に発行を依頼する必要があるので遠方に住んでいる場合には本籍地のHPにある書式の申込書、自身の身分証明書、定額小為替(金額は市町村によって異なります)、切手を貼った返信用封筒を封入して取り寄せが必要。書類が届くまで7~10日間程かかる。
収入印紙
戸籍謄本をもらう時に一緒に購入するのがおすすめ。
管轄の家庭裁判所によって申述書に貼る収入印紙の金額が異なる為、確認する事。
※要確認!返信用封筒・切手
ここは地方によって一番バラつきがありました。
ネットで調べて実際に地元の家庭裁判所に聞いてみたら「えぇ~封筒は必要ないよぉ~?」と言われ、実際は返信用切手だけが必要だったので書類不備にならない為に一応確認をとった方が良いです。
上記の書類を全て揃え、記入し、家庭裁判所に送付。
筆者はポンコツなので家庭裁判所で聞いた「戸籍の附票(戸籍全部事項証明書)一部ね!」という言葉を信じ(ネットでは全部附票って書いてたけどなぁ…)と思いながらも戸籍の一部附票を送ってしまい一度書類不備で家庭裁判所からの連絡があり、戸籍全部事項証明書の取り寄せを一からやり直しました…泣いた。
無事相続放棄受理通知書が届く
書類をもう一度送って1週間。
家庭裁判所から無事に相続放棄受理通知書が届く。
何やかんやで最初の通知から約1ヶ月ちょっとで全ての手続きを完了する事が出来ました。
こうして最初に被相続人の死亡のお知らせをしてきた場所に相続放棄受理通知書のコピーを送付して、無事に父の住民税を払う必要がなくなったのであった…。
相続放棄にかかった金額の内訳
ちなみに弁護士や司法書士を介さない場合の大体の筆者が負担した総額の内訳になります。(ポンコツミス代を除く)
・戸籍謄本、収入印紙代…2850円
・戸籍附票取り寄せの定額小為替代…750円
・書類の印刷やコピー代…120円
・切手代…440円
合計4160円
思ったより手続きにかかった金額は多くなく、お財布に優しい事にビックリする。
自分で全て行うのが一番しんどいけどとてもいい経験になるので、他に相続人の候補になる親族がいて話がこじれそうでない限りは自分で相続放棄手続きをする事をおすすめします。
結構連絡待ちの時間が長い事や、催促の電話があったり、何故養育費を振り込むのをやめた父の為にわざわざ時間とお金を割かなければならないのかをグルグルと考え、生きた心地がしなかったけれど結果的に上手くいったのでヨシ!とした。
もしもこの先相続放棄をしなければならない人の不安を緩和できればと思ってこの記事を書いたので、困った時には少し思い出してもらえたら嬉しいです。
ここまでお読み頂きありがとうございました!
あなたの人生に幸あれ!!
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