劇場版ウマ娘プリティダービー「新時代の扉」 感想のようなもの

 皆さん初めまして、初めましてじゃない方はいつもお世話になっております。悠歩(ゆほ)と申します。

こちらは劇場版ウマ娘プリティダービー「新時代の扉」の感想のような何かになります。ころくさんのところで記事を書くならまずは文アルからになるかと思っていたのですが、まさかの一発目がウマ娘です。最初に言っておきますが真面目に全人類に見て欲しいです。お願いです見に行って感想を呟いてください助かる命がここにあります。

以下注意書き

  • ストーリーのネタバレを含みます。
  • 私情と推しへの感情を多分に含みます。むしろ推しの話しかしていません。
  • 4DXの話もあります。

自由気ままなフリースタイル・レースで、
最強を目指して走り続けてきたウマ娘の少女、ポッケことジャングルポケット。
気まぐれに観戦した<トゥインクル・シリーズ>のレースで、
フジキセキの走りに衝撃を受けたポッケは、
自らも<トゥインクル・シリーズ>に挑むことを決意する。

ウマ娘たちの集う『トレセン学園』に入ったポッケは、フジキセキを育てたタナベトレーナーのもと、
一生に一度しか挑戦を許されない『クラシック三冠レース』に挑む。
そこに待ち受けていたのは、ポッケをもしのぐ実力をもつ同世代のライバルたちだった。

劇場版「ウマ娘プリティダービー新時代の扉」 公式サイトのSTORYより引用

あらすじはこんな感じ

 今でこそ口を開けば「見に行って」と繰り返すBOT状態になっていますが、最初の頃はそこまで期待はしていませんでした。映画の製作自体は「ジャングルポケットが主人公で2001年クラシック世代がメインの話になる」と告知で知ってはいたのですが、正直に言うと現実の競馬のほうが忙しくてアプリから遠ざかっていたので「ほーん」という程度で見ていました。見ていたのですが……
「アグネスタキオン推しとフジキセキ推しのトレーナーは絶対に見に行ったほうが良い」
 公開直後、X(Twitter)に流れてきたこの情報に心を動かされることになります。何故って? それはどちらも私の好きなキャラで、フジキセキは実装時どうしても欲しくて生まれて初めて天井までガチャを回し、更にタキオンに至っては好き過ぎてキャラ推しだけに収まらず実馬の孫に一口馬主として出資している、リアルプランBにお金を出しているモルモットだからです。狂気の所業なのでみんなはマネをしてはいけない。ちなみに母父がタキオンで、父親がゴルシの子です。ゴルシにも良い感じに脳を焼かれています。ていうか12世代も頼むから映画化してくれ。
 そこまで言われたら見ないわけにはいかない、幸い現在の職場の近くに上映している映画館があったので、仕事終わりのレイトショーへ飛び込んだのでした。結果は完全に脳を黒焦げにされて映画館を出て、普段映画はほとんど見ないというのに現時点で通常上映6回、4DX2回の合計8回映画館に通うというとんでもない事態になっています。
 上記の二人については後述するとしてストーリー本体の話を。まずアバンであらすじの内容をなぞり、オープニングでフジキセキとの出会いからデビュー戦、重賞の2連勝を流してシームレスにホープフルステークスにまで進んでいきます。このストーリー展開の繋げ方が本当に上手で、トレーニング中の足元から共同通信杯のゴールへ、ダービー前にトレーナーに諭されるシーンで靴を履くところがスッとダービーでの控室で靴を履くところへ、流れるようによどみなく進んで、体感30分程度で終わってしまうくらいノンストレスで見られます。なんか、いつ見てもいつの間にかダバダバ泣きながらうまぴょい伝説を聞いて涙をひっこめるターンに入ってる気がするんですよね……主人公のポッケも王道の熱血主人公で見ていて胸がすくものがありますし、普段映画を見ない人や2時間じっとしてるのが苦手と言う人でも苦にすることなく見られる映画だと思います。内容としても先に発表されているRoad to the Top(通称RTTT、こちらはポッケたちから数えて2世代前の99年クラシック世代の話。現在期間限定でYouTubeで再公開中)と繋がる部分はありますが、基本的にこの映画だけで完結しているのでゲームや他のTVアニメ等を履修する必要はありません。というかメイン登場人物であるポッケとダンツフレームがゲーム育成キャラとしては未実装で他媒体ではほとんど出てこないです。ゲーム無課金ですぐに見られる範囲ですと今年追加された分の誕生日のトークギャラリーとアニバーサリーのストーリーぐらいで参考になるほど量は無いです。史実も見ていて気になったら調べる程度で良いですし、なんならパンフレットにnumberの記者の方の記事が載っていてそこで解説されているので「わざわざ調べないと楽しめない」なんてことはありません。とにかく見るまでのハードルはとても低いのでみんな見てくださいお願いします。
※6月12日追記
News|ウマ娘 プリティーダービー 公式ポータルサイト|Cygames
ウマ娘 プリティーダービー公式ポータルサイトです。メディアミックスコンテンツ『ウマ娘 プロジェクト』に関する最新情報をお届けします。

まだ未実装ですとか言ってたら来てしまいました

無事に引けて気力があったら別途で何か書きます。嫌だ……天井は嫌だ……

推しキャラについてその1:アグネスタキオン
 主人公であるポッケにとってトゥインクルシリーズで最初の壁として立ちふさがったアグネスタキオン。彼女のライフワークがレースに勝つことではなく「ウマ娘として、己の限界速度を超えて、その果てに行きつく先を見たい」な上に根がマッドサイエンティストなので、ゲームだと研究第一の合理主義であまり他者に対して重い感情を抱いて見せるタイプではありません。「トレーナーの狂気に近い熱意に当てられて退学するのをやめ、且つ静かに一人でプランA……自分の脚で果てを目指すことを選択した(プランBはその逆で、他人に果てまで至ってもらってそれを外部から観測する)」「最終的に感情というファクターにも興味を示し始めた」というぐらい。
 劇場版のタキオンも、基本はマッドで合理的な思考で動き、自分の脚がこの場でダメになることを承知の上で皐月賞でポッケたちを始めとしたその場にいるウマ娘全員を完膚なきまでに打ちのめし、そして史実の通り今後レースには一切出ない選択をしたのですが、ポッケとダンツのダービーでの走りを見てゲーム版では見せない、発しないような感情の声を出します。「嫉妬」と「絶望」と「羨望」が混ざったような……それは「自分の脚で、自分の眼で、その果てを見たかった癖に目的の達成ばかりを優先して、無意識に自分の感情と本能に蓋をした」結果、歯車がどんどん壊れ始める序章の声。本当は自分で走りたいのに、自分で到達したいのに、それなのに何の説明も無しに目的の達成を優先させて、同期の仲間を焚きつけるだけ焚きつけて全てを同期達に丸投げして勝手に居なくなったタキオンは、自分の感情を疎かにしたばっかりに、自分でも理由がよく分からないまま意気消沈していくのでした。実馬が馬にとっては不治の病とも言える屈腱炎で、4戦4勝をあげ「まず一冠!」と言われながら引退せざるを得なかったことを考えると、虚無の顔でカフェの菊花賞のレース映像を見つつ走りたさから無意識に足をバタバタさせるタキオンは見ててくるものがあります。
 気持ちが荒れていくのに比例してどんどん散らかっていく研究室。恐らく全ての事情を分かった上で塩対応通り越して呆れと怒りと侮蔑の眼を向けるカフェや「あなたが走らなくても、私は走り続けるから」とバッサリ切り捨てたダンツと違い、後述のフジキセキのこともあり「なんかのっぴきならない事情はあるんだろうけど、俺はお前とまた一緒に走りたい」と歩み寄ったポッケによって、蓋をしていた感情を爆発させるところは是非映画館で見てください。私はというとトレーナーには絶対に見せてこないタキオンの重い感情を見せつけられて脳みそが黒焦げになりました。キャラ設定として「目に感情のハイライトが入らない」「無機質感を出すために瞬きの描写をしない」ようになっているタキオンの眼にハイライトが入るのは皐月賞で果てに近付いて満足そうにゴールするときと、ジャパンカップで自分の中に抱えていた「ホープフルステークスの時に見たポッケの横顔の幻」に感情の蓋を取っ払われてしまった時の2回。夕日に照らされ本能のままに叫ぶタキオンの声は本当に泣けます。その前のシーンのせいでジャパンカップ開始時点でボロボロ泣いているのですが、瞬きを一つして感情が爆発するところでさらにブーストがかかって大変なことに……
実際のところ、彼女のセリフ「そうだ!意味がない!」を聞きに映画見に行ってるような感じになってます。ゲームとは別ベクトルで感情を爆発させるところなんて、もう今後はほとんど見られないと思うので今のうちに思う存分摂取しておこうと思います。
推しキャラについてその2:フジキセキ
 タキオンとは別の方向で、フォーカスする部分が変わるとここまで印象が変わるのか! となったキャラでした。ゲームでは本人が本来望んでいる「レースで観客やトレーナーを楽しませること」に振り切れているおかげか分かりやすく曇るところがあまり無いからです。確か無かったはず……嘘でしたキャラストでちょっと曇ります
 そんなフジキセキですが、史実ではタキオンと同様、怪我によって競走馬としての道を絶たれます。映画でもアバンでポッケを魅了した弥生賞を最後に、怪我を理由にレースから離れ支える側にまわっています。4戦4勝、はからずもタキオンと同じ勝利数で夢を絶たれた彼女は、自分を追いかけてトレセン学園へやってきたポッケに叶えられなかった夢を乗せて、自分が夢を見させてあげられなかったタナベトレーナー(以下ナベさん)に託します。ポッケに道を指し示す優しくも頼もしい先輩であると共に、エンターテイナーに徹している彼女であったら絶対に見せないであろう憂いのある部分がガンガン描写されているので、ゲームで見られる後輩を「ポニーちゃん」と呼び学園の王子様としてファンサをしている姿は微塵もありません。ダービー前に荒れたポッケを諭しているナベさんの後ろで、影に隠れて見つからないように膝を抱える弱弱しいフジキセキは金輪際ここでしか見られないと思います。
 ナベさんがタキオンを指して「あれだけのウマ娘が理由もなく4戦でレースから降りるなんてよっぽどのことがあったんだろう。いくら絶好調でもウマ娘に怪我はつきものだし、みんな怪我をしたくてするわけじゃないし、トレーナーだってさせたくない。でも、それぞれがその運命と向き合って走っている」とポッケを諭してポッケがそれを受け入れるのも、フジキセキが思うように走ることができなかった過去があってこそ。ここから上記のタキオンに意思を示すポッケに繋がるところも、史実をベースにしているとはいえストーリーの妙だなと感じます。
 そんなフジキセキも、ポッケのダービーの走りを見て「自分もまた走りたい」と願うようになります。ナベさんやポッケのサポートをしつつ怪我が治って走れるようになっても「全戦全勝できていた絶頂期の自分」という超えられない壁にぶち当たって、笑顔の下で走りたい本能に抗いながら「自分の時代は終わったから」と葛藤していたのだと思うと辛いものがありますね……同じように「タキオンには絶対に勝つことができない自分」に囚われてしまったポッケの前に自分がかつて身にまとっていた勝負服を着て現れたのは、自分が抱える自分の幻に打ち勝って、本来自分がやりたかった「観客を楽しませる走り」をしたかった上で、その願いを込めた勝負服での走りをポッケに見て欲しかったからなんだろうなと私は思っています。タキオンの項目で「ジャパンカップのその前から泣いてる」と書いたのは、この勝負服姿でフジキセキが柳の下から現れるシーンでボロ泣きするから。座席が揺れまくって若干集中できなかった4DXで見た2回以外、何回見てもこのシーンで泣いてしまうんですよね。ポッケからは「現役時代と変わらない走り」と思われても、フジキセキ本人からすれば過去の自分からは程遠い走りで、それでも走っていたい自分で在るためにはその過去の自分を超えるしか無くて、そしてそんな自分を超えられるのは自分しかいないと走りだす姿は思い出すだけで泣けてくるんです。
 ただこのフジキセキの走る目的、映画の中ではポッケと併走する前と併走後ナベさんに「楽しませてみせるよ」と宣言するぐらいでちまっとしか触れられてないので「なんかよく分かんないけどいきなり胸元全開のすげぇ勝負服のフジキセキが現れたぞ!!」とノイズに感じられてしまうのがちょっと惜しいところですね……胸元が全開な理由? 私も分からないよ!! ゲームでの絵柄統一化及び3D化に当たり露出要素が一切削られなかった稀有な例 公式ポータルサイトで見られる原案イラストはそんな違和感を感じさせないぐらいかっこいいからみんな見てくれよな!! それはそれとして何故劇場版の勝負服は胸のアンダーベルトを下げたんだ
 思えばメイン登場人物の全員が、自分が抱える幻や葛藤と向き合って、それぞれ超えていこうとする物語だったと思います。ダンツは「勝って真ん中に立ちたいけど、勝ちきれない自分」と、カフェは自分の前をひたすらに走っていく他人からは見えない「お友達」と。カフェの菊花賞の描写がちょっと物足りないなと思うところはあるのですが、あくまで映画はポッケ視点なのと、第一弾の特典と同じ方が書かれた小説版でガッツリ補完が入っているので個人的にはあまり気になってはいないです。映画を見て「ここが足りない」と思った人は小説版を合わせて読むと良いと思います。
 タキオンは……ちょっと遠回りしてしまったけれど、あの後ガラスの脚を抱えつつ走りたい自分と向き合って何とかしていくはずです。ポッケもいるし、ゲームでは何とか出来てるから大丈夫大丈夫。
 もっともっとキャラ単体やシーンごとに話したいことは色々あるのですが、キリが無いのでこの辺で。繰り返しになってしまいますが、本当に良い映画なので、ウマ娘を知らない方も知ってるけどちょっと離れてしまってる方にも是非見て欲しいです。それと4DXも上映開始されていますが、初見は普通の一般上映にしたほうがいいです。走っているシーンで乗馬マシンの最強モード並みに座席が揺れるのと、映画館によっては汗がこぼれるところや雨の降るシーンでがっつりミストや水をかけられるので話に集中できるかと言われるとちょっと怪しいです……間違いなくポップコーンと飲み物は吹っ飛びますし、体幹が弱いと最後のジャパンカップあたりで吹っ飛ばされそうになります。でも4DXは4DXで楽しいので2回目以降の視聴でチャレンジしてみてください。
 そして、気が向いて書きたいことが増えたらまた何か書くと思います。もしリクエスト等あればお応えできる部分もあるかと思いますので、何かあればコメント頂ければ幸いです。それでは今後ともどうぞ御贔屓に、よろしくお願いいたします。
最後にこれだけ……みんな映画館に見に行ってね!!!!!!
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